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日本のものづくり最大の危機①

Japan In-depth / 2022年7月1日 18時0分

補助金制度は使用した経費に対し、後から交付金が支払われる制度である。先に経費を全額用意しなければならないためハードルが高い。コロナ禍などの有事に補助金制度も対応しなければ、日本のものづくりが危機に陥ってしまう。先に40%程度ほど補助金を支給することや、銀行が融資をしやすくするなどのコロナ禍に適応した施策であるべきだ。他にも医業を営む以外の一般社団法人にはセーフティネット保証制度を利用できない、申請手続きには3期分の実績と決算書類が必要など、条件が厳し過ぎるか、例外の申請の手続きが複雑すぎたりもする。資金援助の面でもゼロリスクを追求する弊害が見られ、それらの悪影響は日本の産業を支える多くの中小企業に集中してしまう。


手続きの複雑さ、遅さも問題だ。筆者は小規模持続化補助金も利用したが、図のとおり、事業終了から請求まで4ヶ月、請求から振り込みまで3ヶ月を要した。これでは事業持続の足しにならない。一時支援金も事前確認業者を探すことが大仕事であった。事業案内ホームページに載せられた連絡先が違う、本来は手数料がかからないはずが事前確認業者から請求されたなどのトラブルも耳にする。ホームページからの申請も入力時間が極端に短いため、必要事項を素早く入力完了しないと直ちにエラーとなる。パソコン操作が苦手な人は何度もやり直すことになり、申請に8時間も要することがある。申請から振り込みまでの時間も謳い文句のように2週間ではない。筆者の場合は1ヶ月であるが、これは早い方だ。振込完了通知までも1週間を要するのであるから、手続きは自動化されていないのではないか。



図)「面発光LED技術による野外用無影灯の開発と災害医療・救命事業」に関する経費・融資・補助金関連図 


出典)筆者作成


最近になりコロナ対策給付金詐欺による逮捕者の報道がなされるが、原本を確認しない、携帯電話の解像度の低い写真で書類を送らせるなどの、ねつ造や改ざんをしてもわかりにくい方法を採っているのが問題であって、これらの事件が手続きを簡略化した結果とはとても言えない。詐欺を防ぐのであれば、手続きを簡略化して原本を確認する精度にすべきであって業務量もこちらの方が少なくなるものだ。


日本は国と東京都の財源を使い果たしてしまい、もはや補償もできない状態である。大企業ですら90%の減収で維持できる運転資金は3ヶ月から4ヶ月程度であろう。感染症も補償制度もリスクをゼロにすることは不可能であるから、ある程度は許容した上で経済活動を本格的に再開すべきである。実際に1918年~1920年にかけて3度大流行したスペイン風邪は日本に約40万人の犠牲者を出したが、経済は好景気であり実質成長率は6.5%であった。


経済とは「経世済民」世を経め民を済う(よをおさめたみをすくう)ことである。日本には、この「経済」の考え方があるからこそスラム街がなく新型コロナウイルスの感染拡大を抑えられた面もある。経済力なくしては侵攻対処という莫大な費用を要する危機にはとても対処できない。


※ 藤井聡 京大大学院教授らの研究による


(つづく)


トップ写真:川崎にある工場


出典)Photo by Carl Court/Getty Images


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