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参議院選挙の本当の「争点」⑤雇用

Japan In-depth / 2022年7月3日 18時0分

 他方、起業、フリーランス、デュアルワーカー、副業、社会起業など新しい働き方も出現している。様々な仕事を掛け持ちする「ポートフォリオワーカー」などが出現し、ロボットやデジタル技術が高度化して雇用を置き換えるくらい発達すると、20世紀型の「雇用確保」という論点、錦の御旗を改めて問い直さないといけないところだろう。注意したいのは、もちろん安心して働けることは絶対に大事だが、雇用への過度な信仰・絶対視はそろそろ冷静に見直すべきだということだ。


 その意味で、昭和の成功モデルである「日本的雇用慣行」(新卒一括採用、長期雇用、年功賃金)は大きく変わらざるを得ないだろう。一つの会社にとどまって人生を過ごすという「キャリア」が当たり前でなくなってきたからだ。


□雇用観が違う?各党比較


 アベノミクス以来の経済政策を見てみると、賃金は上がっていないが、雇用についてはかなり良かったのも事実である。数値で見ても、失業率は3%以下と成果を残したと言える。



▲表 アベノミクスの成果 【出典】筆者作成



▲表 各党の公約比較 【出典】筆者作成


 各党、ほぼほぼ同じようなことを言っている。非正規社員の待遇改善、成長産業などでの雇用増加など各党、現状を抑えている、さすがの公約が並ぶ。


 これらを見て、思うのは第1の論点は雇用調整助成金だろう。雇用調整助成金を支払うことで、雇用が維持される面はコロナ禍で大事ではあった。しかし、経営者が雇用再編などをしたがらない世界では非常によい政策ではあるが、反面、雇用の流動化が止まってしまう。まず、雇用調整助成金への意味合い、長期的視野での、必要性など見解を問いたいところである。


□日本型の雇用の焦点:解雇規制


 そして、第2の論点は解雇規制である。特に、維新の会は、ジョブ型雇用など踏み込んでいる。「解雇ルールを明確化するとともに、解雇紛争の金銭解決を可能にするなど労働契約の終了に関する規制改革を行い、労働市場の流動化・活性化を促進」とまで言っているところが興味深い。一方、共産党は「解雇の自由化を許さず、解雇規制法をつくります」と言っている。れいわ新選組も同様だ。


 民法では雇用契約に期間の定めがない場合、契約の当事者双方は「何時にても解約の申し入れをなすこと」ができ、労働基準法では、解雇を行うには30日前の予告か30日の予告手当を支払えば良いとはなっている。しかし、解雇無効を裁判で争われた場合、9割方は会社が負ける。


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