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参議院選挙の本当の「争点」⑤雇用

Japan In-depth / 2022年7月3日 18時0分

「使用者の解雇権行使が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当して是認しえない場合には、権利の濫用として無効となる」という判例法理が多くの裁判例によって確立し、労働契約法第16条に解雇権濫用法理として記された。解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は権利濫用で無効となる。そのため、日本は最も雇用が難しい国とされたほどだ。


□解雇規制の見直しは職業訓練をセットで


 欧米では解雇規制が厳格化すると雇用率は低下し、若年層への影響が大きかったりしている。日本はどうなのだろうか。


 その意味で、もっと規制緩和が必要だと個人的には思っている。一度雇った正社員は、なかなか解雇できないし給与を下げることができない。正社員として向いてもない仕事にしがみつき、いやいやながら「ブルシットジョブ」でも我慢して仕事し、心身ともボロボロになって働き、生き残ったとしても、その人が幸せなキャリアなのだろうか。


 ただし、解雇規制の見直しと解雇される労働者の職業訓練はセットでないといけないとは思う。そこは人への投資やリカレント教育、リスキリングなどを徹底的に支援すればいい。


□雇用流動化が必要?


 解雇規制の緩和による雇用流動化はそれなりに慎重に制度設計は必要だろう。一時的に失業率は高まるだろうし、ある意味「痛み」を伴う改革である。しかし、ブルシット・ジョブと呼ばれる多くの人にとって「どうでもいい仕事」「やりがいのない仕事」やハラスメント溢れる「くそみたい」な職場や未来の見えない仕事や市場価値を失いつつあるスキルなどの状況にしがみつくより、「You are fired.」と言われて荷物をまとめて会社の建物から出て(晴天の霹靂にショックを受けるか、前を向くか、すっきりするか、は人それぞれ)、最先端や未来に役立つスキルを身に着けられる職業訓練を受け、再就職という方が労働者にとって幸せではなかろうか。セーフティーネットの徹底的な確立をしたうえでの雇用の流動化は日本経済にもメリットがあるはずだ。


(続く。①、②、③、④)


トップ写真:東京オリンピック11日目の朝のラッシュアワー風景 2021年8月3日東京・JR東日本品川駅


出典:Photo by Leon Neal/Getty Images


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