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返還25周年で香港入りした習近平主席

Japan In-depth / 2022年7月5日 11時0分

返還25周年で香港入りした習近平主席




澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】





・習主席の香港訪問で奇妙なでき事が相次ぎ、様々な憶測を呼んでいる。





・習主席は香港高官たった4人の前で講話、祝賀会がキャンセルに。香港に宿泊せず深圳に戻った。





・「江沢民派」本拠地での暗殺恐れたか。新行政長官人事をみると香港は「警察都市」へと変貌。





 





今年(2022年)6月30日、習近平主席は翌日の返還25年周年式典へ出席するため、彭麗媛夫人を伴い、高速鉄道で香港を訪れた。この習主席の香港訪問は、1泊2日の短い日程だったが、様々な憶測を呼んでいる。





その前に、なぜ、今の香港がかつての香港の輝きを失ったのか、ごく簡単におさらいをしておこう。





2020年6月30日、中国の全国人民代表大会常務委員会は「(香港版)国家安全維持法」を可決し、同日23時から施行した。これこそが、香港を「中国化」させた主因だろう。





この法律では、以下の4つが犯罪行為(a)となる。





(1)分離独立:国家からの離脱





(2)反政府:中央政府の権力・権限を揺るがす行い





(3)テロリズム:暴力や威圧行動





(4)香港に介入する外国勢力との結託





例えば、新法第55条には、中国大陸側の保安当局者に対し、「複雑」で「深刻」あるいは「難解」な国家安全保障事件の一部を調査する権限を与える(b)と書かれている。また、捜査から判決、処罰に至るまでの全てを、中国大陸の当局が引き継ぐこともできる(第56条)。





他方、同法では、裁判が非公開で行われたり(第41条)、陪審員なしで行われたり(第46条)する可能性がある。また、容疑者は保釈されないとある(第42条)。容疑者の拘束期間についても制限がないようで、事件は「しかるべきタイミングで」処理されるべきだとだけ記されている。





以上のように、香港は、中央政府の意向に従う「1国1制度」となった。これで英国によって「近代化」された香港は、「前近代」的な中国に飲み込まれたのである。









▲写真 習主席訪問にあたり、厳重な警備が敷かれた香港(2022年6月30日 香港) 出典:Photo by Anthony Kwan/Getty Images





さて、7月1日、習近平主席は式典の中で、「真の民主主義」は25年前に中国が香港を支配したときに始まったと主張(c)している。けれども、香港は、北京当局が国際公約した「50年」が半分で終わり、「第2の主権移転」という「第2の返還」を完了(d)した。





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