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中国、李克強首相の真の姿

Japan In-depth / 2022年7月7日 23時44分

中国、李克強首相の真の姿


澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





 


【まとめ】


・法学博士張傑が、李首相と習主席の「対立」と、李克強が留任する理由を分析した。


・李首相と習主席は、経済政策や履歴など多くの面において「対立」している。


・李首相の留任は、個人的意志ではなく、彼が代表している「改革派」の集団的な意志である。


 


ひょっとすると、我々は今まで李克強首相に対して、誤った認識を持っていたのかもしれない。世間の評価として、彼は中国共産党が政権を掌握して以来「史上最弱の首相」である。


けれども、まったく別の見方が存在する。張傑という法学博士が2年前に書いた文章「張傑:中南海の権力闘争が公になった時、なぜ李克強は我慢するのか?」(a)は秀逸である。その概略を紹介したい。


まず、李首相と習近平主席の“対立”は、第1に、前者が後者より重要ポストの経歴が長いという点だろう。


実は、李首相は習主席より7年長く正省部級を務め、習主席より1期早く中央委員会入りしている。そのため、習主席は李首相の経歴をずっと気にしていて、党会議では李首相に「自分の立場をわきまえよ」と何度も釘を刺した。


第2に、李首相は「共青団」の代表的な人物である。だが、習主席は同グループに対し厳しい態度を取る。


2017年、胡錦濤主席と温家宝首相の後継者と目されていた孫政才が失脚した。すると、同じく後継者と言われていた胡春華は中央委員会へ書簡を送り、第19回党大会で政治局常務委員(最高幹部)入りしないと表明している。


第3に、経済政策の深刻な相違である。


「民営経済派」の李首相は、国家主導の投資手法を縮小し、経済構造改革を行い、短期の痛みと引き替えに長期の持続的発展を提唱している。一方、習主席は党の支配による「国有経済派」である。毛沢東時代の経済モデルを好む。


第4に、李首相は重大な経済決定から排除されてきた。


過去4年間、中国が対外的にカネをばらまいてもゴマの花(成熟後、主茎と分枝の中は空)だった。


『環球網』によると、中国の対外援助総額は6兆0365億元(約120兆7300億円)で、もし、これを国内上場会社3000社に均等に配分すれば、1社当たり20億元(約400億円)を受け取ることができる。


国内の零細企業に融資すれば、1000社の零細企業の資金難を1社当たり平均60万元(約1200万円)で解決できよう。もし、農民に使えば、一度に1億人小康目標を達成することができ、1世帯当たり平均6万元(約120万円)にのぼる。


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