【ファクトチェック】共産党志位和夫委員長「所得税・住民税を払った上に消費税を取っているわけですから、これが最悪の二重課税になります」→ミスリード
Japan In-depth / 2022年7月9日 11時10分
Japan In-depth編集部(黒沼 瑠子)
【まとめ】
・日本記者クラブ党首討論会において、共産党志位委員長が「所得税・住民税を払った上に消費税をとっていると二重課税になる」と発言。
・二重課税とは同種の租税を二度以上課すもの、と定義されている。
・所得税・住民税と消費税の課税原因・対象は同一でない。よってこの発言はミスリードであると判断する。
2022年6月21日に行われた日本記者クラブ党首討論会に出席した日本共産党委員長志位和夫氏は、自民党総裁岸田文雄氏と討論を行った。(9党党首討論会2022.06.21)その中で、大企業の内部留保に課税すべきかどうかで、岸田氏と志位氏の間で論争があった。
二人のやり取りは以下のとおりである。
↓↓↓
志位氏: 日本共産党はアベノミクスで膨れ上がった大企業の内部留保に、毎年2%、5年間で10兆円の時限的課税を行うことで、賃上げを促進することを提案しております。
どうして賃上げを促進するのか。
一つは賃金の底上げです。10兆円の税収は最低賃金を1500円に引き上げるための中小企業支援に当てます。
もう一つは賃上げへの誘導です。賃上げとグリーン投資を行った分は課税を控除して、賃上げと脱炭素を推進します。
内部留保というのは人間の体に例えますと脂肪のようなものです。脂肪は大切なエネルギー源ですが、たまりすぎると代謝が悪くなって様々な生活習慣病を起こします。
私たちの提案は、人間の体でいう脂肪を適度に燃やして、そのエネルギーで経済の好循環を実現するというものです。
賃上げ効果、間違いなしです。ぜひ採用していただきたい。いかがでしょうか。
岸田首相: 企業における内部留保を人件費や設備投資に回すという考え方は私たちも大事だと思います。
ただ内部留保課税というようなことについては、税法上の二重課税の問題ですとか。そもそも発想として、ペナルティを与えるんじゃなく人件費や設備投資に自ら進むような環境作りの方が大事であるということで、人件費を重視することにインセンティブを与えるとか、積極的に設備投資を行うような市場・環境を作っていくようなことをまず優先すべきであるという基本的な考え方です。
ぜひ、ペナルティを与えるという発想ではなく、前向きに人への投資を含めた様々な投資を促進する、そういった政策を作ることが大事だと思っています。
志位氏: まず、私たちの提案というのは、行き過ぎた減税の一部を返してもらおうというものですから、二重課税にはあたりません。二重課税というんだったら、所得税・住民税を払った上に消費税を取っているわけですから、これが最悪の二重課税になります。
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