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北京市、国務院に“反抗”するも腰砕けに

Japan In-depth / 2022年7月11日 18時0分

北京市、国務院に“反抗”するも腰砕けに


澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】


・7月6日、北京市が再び新型コロナワクチン接種を厳格に行うと宣言。しかし、翌7日深夜、人民の大きな反発を受け、北京市は突如それを撤回。


・李克強首相が率いる国務院は「経済優先主義」である一方、習近平主席は「ゼロコロナ政策」を打ち出しており、北京市トップもまた習派である。


・「習派」としては、今回「反習派」に対し巻き返しを図ろうとしたのではないか。


 


 


今年(2022年)7月6日、北京市が再び新型コロナワクチン接種を厳格に行うと宣言(a)した。しかし、翌7日深夜、北京市は突如、それを撤回した(b)のである。


周知の如く、李克強首相が率いる国務院は「経済優先主義」である。一方、習近平主席は、「ゼロコロナ政策」を梃子に、秋の第20回党大会で3期目を目指す。


だが、最近、「反習派」の旗頭、李首相の影響力が強くなり、存在感を増している。そこで、「習派」としては、今回「反習派」に対し巻き返しを図ろうとしたのではないか。


目下、北京市のトップは「習派」の忠臣、蔡奇である。そのため、習主席が蔡奇に働きかけて、北京市で(「ゼロコロナ政策」の延長戦上にある)厳格なワクチン接種を実行させようとしたのかもしれない。あるいは、蔡奇自ら、習主席に“忖度”し、厳しいワクチン接種を実行に移そうとしたのかもしれない。






写真)北京冬季オリンピック閉会式で演説をする蔡奇氏 2022年2月20日


出典)Photo by Maja Hitij/Getty Images


既報の通り、5月末、国務院は、コロナ予防を一律に適用しないことを求める「9つの禁止事項」を打ち出し、地方が経済を軽視しないよう要求したばかりだった。北京市が国務院の方針に逆らうとは、習主席が追い込まれている証左ではないだろうか。


まず、北京市の布告を紹介したい。


7月6日午後、北京市政府は同市の新型コロナ防疫に関する記者会見を開いた。そして、同市衛生健康委員会副主任(報道担当)の李昂がワクチン接種作業を促進するための“取り決め”を紹介した。


第1に、老人大学、老人活動所、老人フィットネス娯楽活動場所に出入りする高齢者に対しては、できるだけ早く応対する。


第2に、オフライン教育機関、図書館、博物館、映画館、美術館、文化館、体育館、フィットネスセンター、公演・娯楽施設、インターネットカフェなど人が集まる場所に入る人は、必ず(不適合者を除き)予防接種を受けなければならず、その他、制限・予約された場所には予防接種を受けた人を優先する。


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