窮地の安倍元総理と「文春砲」の総指揮官 「高岡発ニッポン再興」番外編①
Japan In-depth / 2022年7月13日 11時0分
出町譲(高岡市議会議員・作家)
【まとめ】
・2007年参院選で惨敗。安倍首相は当初続投意欲を示すも、その2日後に突如辞任表明。「無責任」との批判の嵐が起こった。
・安倍氏は体調不良を説明したが、「安倍晋三の政治生命は終わった」の見方が支配的だった。
・安倍氏本人が病状の深刻さを語った独占手記を月刊誌が掲載。この手記がなければ、安倍氏は「政治史から消えていた」との見方も。
安倍晋三元総理が凶弾に倒れ、今も衝撃が続いています。不死鳥のような安倍さんだけに、今回も蘇ると思っていただけに、残念です。ご冥福をお祈りします。今回は、市議会議員というよりも、元報道マンとして安倍さんについて書かせていただきたい。
私は安倍さんとは接点はありませんでした。ただ、テレビ報道としては、安倍さん、いや安倍政治と長く向き合っていました。賛否両論ある中、ここ20年近くは、日本の政治は安倍さんに左右されていたと思います。
私は2007年8月に、報道ステーションのニュースデスクとなりました。視聴率の高い看板番組の責任者となり、緊張していたのを今も覚えています。それは、7月の参院選で自民党が惨敗したタイミングでした。
その参院選では、テレビ朝日の後輩、丸川珠代さんが安倍さんの要請で出馬しました。その結果、東京選挙区の自民党では現職の議員が落選し、丸川さんが当選しました。丸川さんについては後でまた触れますが、自民党はわずか37議席だったのです。今回の参院選では自民63議席です。数字だけ見ても、自民党にいかに逆風が吹いていたかわかるでしょう。富山選挙区の野上浩太郎さんも今回圧勝していますが、2007年には落選しています。
写真)参院選に立候補した丸川珠代氏の応援にかけつけた安倍首相(2007年7月12日 東京)
出典)Photo by Koichi Kamoshida/Getty Images
参院選直後の永田町は安倍責任論が噴出し、大荒れでした。公然と辞任を求める声が出てきました。政治不信が募っており、テレビ報道は、政局ニュース一色でした。
安倍さんは当初、続投の意欲を見せていました。所信表明演説でこう述べました。「ここまで厳しい民意が示されたのだから、退陣すべきとの意見もあることは十分承知している」とした上で、改革を継続するために「続投を決意した」と述べたのです。
しかし、それから2日後に突然、辞任表明しました。その翌日から入院です。報道ステーションを含めて日本のメディアはこぞって、安倍批判を展開しました。「政権を投げ出した」「無責任極まりない」という論調でした。全国で批判の嵐だったのです。
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