1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

河南省郷鎮銀行不払い事件の深い闇

Japan In-depth / 2022年7月17日 23時0分

河南省郷鎮銀行不払い事件の深い闇




澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】





・河南省の省都・鄭州市で数千人の市民が、鄭州中国人民銀行の前でデモを行ったと報道された。





・河南省のGDP成長率は6.3%と全国水準よりも1.8ポイントも低かった。





・同省トップの楼陽生は、秋の党大会で政治局入り険しく習主席の人事に支障きたす恐れがあるとも。





 




今年7月10日(日)早朝、河南省の省都・鄭州市で数千人の市民が、鄭州中国人民銀行の前でデモを行った(a)。彼らは「李克強、金を返せ」、「李克強、河南を調査せよ」と叫んだ(「習近平」と叫ぶと、即、逮捕されるため)。


中国でも「カネは命」という言葉があるが、普段はバラバラで、お互いのことを知らない預金者たちが各方面から集まり、自分たちの権利を守るために声を挙げた。デモ隊が掲げた横断幕の中には、河南省政府(同省トップの楼陽生)に向けられたものもあった。


群衆の数は、少なくとも数千人以上だったと推定される。映像には警察官以外、不詳の白服と黒服の人間がデモ隊を殴り、逮捕している様子が映っていた。正午頃、デモ隊は全員撤収している。


河南当局は、同省郷鎮銀行不払い被害者による鄭州市最大規模の抗議活動については一切言及せず、WeChatや微博(中国版ツイッター)の情報を遮断し、メッセージの削除を行った(b)。


同日夜、鄭州市に隣接する許昌市公安局が、突然、警察速報を出した。主犯格、呂奕容疑者が率いる“犯罪組織”が2011年から「河南新財富集団」などの会社を通じて、関連株式保有、株式持ち合い、あるいは銀行幹部を操るなどで、複数の郷鎮銀行を実質的に支配していたと発表した。


当局は情報を封鎖する一方、河南省の郷鎮銀行を支配する“犯罪組織”の容疑者一味を逮捕し、民衆を安心させようとしたのである。


やはり同日夜、河南省銀行業監督管理委員会、河南省地方金融監督管理局も不払いとなった四つの郷鎮銀行の顧客資金情報を迅速に検証し、近いうちに処理方案を制定して公布すると発表した。


今年4月、河南省のいくつかの郷鎮銀行で、預金者がオンラインでは現金を引き出せなくなっていた。そこで、6月には、数千人の人々が、これらの郷鎮銀行の実店舗を訪れて預金をおろそうとした。しかし、市民の「健康コード」(編集部注:新型コロナの感染リスクを示すアプリ)が「レッドコード」(コロナ陽性者・罹患者)へと“改竄”され、集会やデモが不可能となっている。


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください