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久しぶりの訪米で驚いたこと

Japan In-depth / 2022年7月20日 11時0分

久しぶりの訪米で驚いたこと




宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)





「宮家邦彦の外交・安保カレンダー 2022#28」





2022年7月18-24日





【まとめ】





・一年ぶりの訪米で驚いた。党派を問わず、米国の友人たちが米国の将来について極めて悲観的。フラストの矛先は中国に。





・FOXニュースは「バイデン批判」が主流。旧知の中東専門家によれば、同大統領のサウジ訪問の評判も悪い。





・アメリカ社会の分断は近年一層悪化しつつあるように見える。





 




今週は久しぶりに出張でワシントンに来ている。筆者個人としては安倍元首相逝去の衝撃がまだ残っているが、こちらの友人の安倍氏に関する「思い出」話を聞くたびに、また悲しくなってしまう。ワシントンでの安倍元首相関連ニュースについては今週の「デュポンサークル便り」が詳しいので、そちらをお読みいただきたい。


一年振りのワシントンで最も驚いたのは、党派を問わず、米国の友人たちが米国の将来について極めて悲観的だったことだ。アメリカ人がこんな感じで「自信喪失」状態になる時代はロクなことがない、というのが筆者の経験則。だが80年代とは違い、今の米国人のフラストの矛先は日本ではなく中国に向かっているような気がする。


もう一つ気になったのはFOXニュースの報道ぶりだ。数年前、トランプが大統領だった時代は、「deep state」陰謀論が全盛で、大いに幻滅したものだ。ところが今は陰謀論よりも「バイデン批判」が主流だ。バイデン評価が急降下しているせいか、FOXの論調が妙に説得力を増しているように思えるのだから、我ながら恐ろしい。


という訳で、今回はホテルに帰ればFOXニュースを見るという毎日だが、ここでも中国批判が目につく。例えば、ノースダコタ州の米空軍基地のすぐ近くに中国企業が広大な土地を購入し、corn millすなわちトウモロコシ製粉工場を建設する計画があるらしいが、同空軍基地は最新鋭ドローン開発で有名なところだ、と報じている。


こうした動きは国家安全保障上の大問題ということで、ポンペイオ前国務長官をゲストに呼び、「中国はけしからん、直ちに規制法を制定し阻止すべし」などと報じていた。日本でも似たような話があったと思う。もう一つ驚いたのはポンペイオ氏がダイエットしたらしく、痩せて前よりも精悍に見えたことだ。選挙を考えているのだろうか。


この種の話は日本ではなかなか分からない。それだけでもワシントンに来た甲斐はある。いずれにせよ、アメリカ社会の分断は近年一層悪化しつつあるように見える。だが、バイデンが分断の「原因」なのかと問われれば、筆者は「否、バイデンの不人気はこの分断状況の『結果』に過ぎず、問題はより深刻かもしれない」と答えている。


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