「丸井」創業経営に見る変化の重要性 「高岡発ニッポン再興」その17
Japan In-depth / 2022年7月26日 23時0分
出町譲(高岡市議会議員・作家)
【まとめ】
・丸井の創業一族の経営は時代に合わせてその手法を変え成功を収めてきた。
・丸井は、1931年創業以来、赤字はたったの2回という実績を持つ。
・変化が、創業者の「三越のようになりたい」という想いを叶え、丸井を業界ナンバーワンにした。
高岡市にも、2代目、3代目の企業が数多くあります。そんな企業経営者に参考にしてもらいたいのは、首都圏を中心に商業施設などを展開する「丸井」です。
丸井の創業者、青井忠治は小杉出身で明治37年生まれ。高岡工芸高校に通っていました。その歴史を紐解くと、創業一族の経営のあり方を考えさせてくれます。
1980年代後半、大学生の私にとって、丸井は眩しい存在でした。丸井はデザイナーズブランドの聖地だったからです。
若者たちはバーゲンシーズンになると、新宿にある「ヤング館」には開店前から行列しました。まさしく、バブルと丸井は歩調を合わせていたのです。
けん引したのは2代目社長の青井忠雄です。昭和47年に社長に就任、33年間率いてきました。業績も絶好調で、30期連続の増収増益を実現したのです。
私は2015年初頭に忠雄と何度も会いました。忠雄の父、青井忠治のノンフィクションノベルズ「景気を仕掛けた男『丸井』創業者・青井忠治」(幻冬舎)の取材のためです。印象深かったのはこんな言葉です。
「先代(忠治)のおかげで今の丸井があります。丸井は、私の時代、そして息子とどんどん変化しています」。
忠雄は当時、一線を退き、経営は息子の浩にゆだねていました。名誉会長という肩書はあったが、経営には一切関与していませんでした。
忠治、忠雄、浩。3代の社長は時代に合わせて経営手法を大きく変えています。それが功を奏して、今や業界では圧倒的な力を誇っています。
その原点、青井忠治は、どんな人物だったのか。高岡工芸高校を卒業後、上京。都内の月賦店で丁稚奉公しました。月賦店というのは、タンスや机など高額商品を月賦で販売する店のことです。当時は、粗悪品を高い金利で売りつけるのが月賦店というイメージがありました。
独立したのは、昭和6年です。
「品質の良いものを低い金利で」。忠治は当時としては斬新な経営方針を打ち上げました。そのやり方で、時代の風に乗ったのです。
戦後復興、さらには、高度成長にかけて、大衆消費社会が到来したのです。「家具や洋服をすぐに欲しい」。忠治は、そんな消費者の心をつかみました。売り上げは急ピッチで伸びたのです。
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