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空き校舎とオガール流公民連 「高岡発ニッポン再興」その20

Japan In-depth / 2022年7月29日 18時0分

空き校舎とオガール流公民連 「高岡発ニッポン再興」その20





出町譲(高岡市議会議員・作家)





【まとめ】


・高岡市では空き校舎問題の解決がなかなか進んでいない。


・岩手県紫波町では同様に空き校舎問題に直面し、オガールプロジェクトで培った公民連携の精神を基に、地域や市民を含めた民間事業者による利活用を軸とした基本方針を作った。


・高岡市でも空き校舎問題に対して、住民の意見を聞きながら市場のニーズを探り基本方針を作るべきだろう。


 


 高岡市で一向に進まない空き校舎問題ですが、私は今後6年に10の空き校舎ができるのですから、グランドデザイン、つまり基本方針をつくるべきだと考えています。一つ一つの学校が場当たり的に利活用されるのではなく、高岡市全体の地図を眺め、俯瞰して考えるべきなのです。住宅街の小学校と海沿いの小学校。それぞれの地域によって、空き校舎の利活用の仕方が違って当然だと思います。住民の意見を聞きながら市場のニーズを探る必要があります。その際、参考になる自治体があります。岩手県紫波町(しわちょう)です。私は以前取材に行きましたが、盛岡市から電車で20分ほどの町です。


 紫波町と言えば、公民連携の公共施設として有名な「オガールプロジェクト」を実現したところとして有名です。オガールプロジェクトというのは、「稼ぐインフラ」と呼ばれ、全国から注目されています。町が持っている駅前の広大な土地に、民間事業者が投資、運営。年間100万人もの人が訪れる地域に生まれ変わったのです。その紫波町には、公民連携の精神が脈々と流れています。(編集部注1)


 この紫波町でも、御多分に漏れず児童数がピーク時に比べ6割程度減少。学校統合再編に直面しました。令和3年3月末に2校、令和4年3月末に5校と、合計7校空き校舎になることが決まりました。総面積は10.4ヘクタールです。


 7つの広大な建物や土地が2年間で空くのです。オガールに匹敵する面積です。紫波町ではそれに向けて、新たな部署を立ち上げました。資産経営課です。空き校舎が発生する1年前の令和2年4月のタイミングでした。資産経営課では、それぞれの空き校舎について場当たり的な対応ではなく、基本方針をつくることにしました。そして、1年かけてまとめたのが「紫波町学校跡地活用基本方針」です。


 その基本方針の最大のポイントは、オガールで培った公民連携の精神が盛り込まれている点です。民間事業者から空き校舎等の利活用に関して意見を求め、市場調査したのです。民間事業者のニーズを把握するためです。募集をかけても、応募してくれないと『絵に描いた餅』になると考えたのです。


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