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アルゼンチン加盟に“待った”か 印、中国の影響力増大を懸念

Japan In-depth / 2022年7月29日 11時0分

アルゼンチン加盟に“待った”か 印、中国の影響力増大を懸念





山崎真二(時事通信社元外信部長)





【まとめ】





・BRICSの拡大を画策している中国はイランやアルゼンチンの加盟申請を歓迎している





・インドは中国の影響力増大を警戒しており、BRICS拡大の動きを警戒する





・中国とアルゼンチンの関係緊密化がインドの懸念を深める有力要因の一つなっているようだ





■ 中国外務省は両国の加盟申請を歓迎





 中国とロシアがBRICS(中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカ共和国で構成)を拡大し、先進7カ国(G7)など欧米に対抗する強力なグループづくりを画策していることは多くの専門家が指摘している。





 BRICSの今年の議長国、中国はロシアの協力を得て加盟国拡大に向け積極的に動いてきた。5月のBRICS外相会議に続き、6月下旬からBRICSビジネスフォーラム、第14回首脳会議、さらに途上国を招いた拡大会合と、いずれもオンライン形式で立て続けに主催した。この一連の会議を通じイランとアルゼンチンが加盟申請したとされ、中国外務省は両国の加盟申請を歓迎すると表明した。だが、両国の加盟申請によるBRICS拡大の動きにインドが慎重な姿勢を見せている。「BRICSが西側に敵対する枠組みになることには反対」(インド外務省高官)というのが、インドの公式の立場とされている。





■「中国に心を許さない」インド





 こうした公の見解はともかく、インドが中国への強い不信と警戒心を抱いているのは間違いない。しばしば、インドのモディ首相と中国の習近平主席が親しい関係にあると伝えられるが、「国家としてはインドは中国に決して心を許していない」(日本のインド専門家)との見方が有力。もちろん、それは両国が深刻な国境問題を抱えているからだ。





 1962年に中印戦争が勃発、最近でも2020年6月にインド北部の係争地で両軍が衝突するなど緊張状態が続く。今回のBRICS首脳会議直前にも、インド北部の係争地で中国が巨大な橋を建設中との情報が流れた。インドのジャイシャンカル外相は中国の動きに関して「中国との関係は正常でない」と述べ、両国間関係の根本的進展のためには国境紛争が妨げになっていることを示唆している。





■ 強まるアルゼンチンの対中依存





 インドの複数の有力メディアによると、インドの対中警戒心を一層強めているのが、アルゼンチンのBRICSへの加盟申請だという。近年、アルゼンチンと中国の経済関係は急発展している。





 アルゼンチンのフェルナンデス大統領が今年2月の北京五輪開会式に招待され訪中、習近平国家主席の「一帯一路」への正式参加を表明したことはまだ記憶に新しい。アルゼンチンの重要インフラ支援への大型融資のほか、農業開発、デジタル経済、宇宙開発、原子力分野などでの中国の支援も両国間で表明されている。「中国の支援なしにはアルゼンチン経済の未来は見通せない」(ブエノスアイレスの有力経済紙「アンビト・フィナンシエロ」)といった声も上がるほど、アルゼンチンの対中依存が顕著になっている。





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