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「象徴天皇制」歴史から学ぶ 「高岡発ニッポン再興」その26

Japan In-depth / 2022年8月11日 7時0分

―日本人は天皇を神さまだと思い、『天皇陛下万歳』と叫んで平気で死んでいく。八紘一宇といいながら、世界を侵略する。それらの原因はすべて天皇にある。天皇を退位させて民主主義を実現しないと、日本は平和国家として世界から受け入れられる態勢が整わない。極東委員会の中で、ソ連などの強硬派から、天皇退位を求める声が出ている―。


それに対し、楢橋は強硬に反対論を唱えました。


「天皇退位になれば、日本国民は反乱を起こすか、マッカーサーに反抗するだろう。そうすれば、進駐軍が失敗したということになり、ソ連が北海道に進駐するだろう。日本は二つに分割されるだろう。そしたらマッカーサーも失敗したことになる」。


楢橋は持論を展開しながら、一人の男の顔を頭に浮かべていました。それは、山本玄峰です。そこでGHQに対し、「天皇については4、5日待ってくれませんか」とお願いした。


 家に戻り、さっそく、三島の龍沢寺に電話しました。玄峰は新潟県の長岡の温泉に旅行していました。楢橋はすぐに自動車で長岡に向かいました。


障子を開けると、玄峰が炬燵に一升の徳利を置いて、座っていました。楢橋が部屋に入ろうとすると、言葉が返ってきました。


「天皇の問題で来たのだね」。そして語り始めました。


「私は天皇が下手に政治や政権について興味を持ったら、政権内で内部抗争が絶えなくなると思う。天皇の詔勅を受けているといって天皇の権威を利用して派閥抗争するだろう」。


その上で、こんな考え方を明らかにしたのです。


「天皇は政治から超然として空に輝く太陽のような存在になるべきだ。政治家はその天皇の御心を受けて慎みながら政治をすべきだ。そうすれば、天皇がいても、立派な民主主義国家になるのではないか。天皇は空に輝く象徴みたいなものだ」。


楢橋はこの言葉に感動し、再びGHQに出向きました。


「天皇は民族の象徴、主権は在民。天皇は一切、政治に関与しない。天皇は日本民族全体を象徴しているので、政治家は天皇のお気持ちを受けているという形態がいい」。


するとGHQ側は「それはいいアイデアだ」。総司令部が作った新憲法に「天皇は民族の象徴」という文句が生まれたきっかけになったといいます。阿南がこだわった「国体」は維持されたのです。


私は歴史を学べば学ぶほど、先人に尊敬の念を抱きます。70年余り前の人々の努力があったからこそ、今のニッポンがあるのです。


さて私も、政治家です。日々の行動はそのまま未来の人々に影響を与えているのです。地域のこと、高岡市、さらには、日本全体を見据えて、行動に移していきたいと思っています。未来の人々に恥じない仕事をしなければなりません。


 


写真:終戦を知らせる玉音放送に頭を下げながら聞き入る、グアムの捕虜収容所に収容された日本軍捕虜たち。1945年8月15日


出典:Photo by © CORBIS/Corbis via Getty Images


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