1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

10式戦車は生き残れない(下)

Japan In-depth / 2022年8月12日 19時0分

更に申せば軽量化によって機動力も損なわれている。三菱重工は転輪を90式と同じ片面に6個を提案したが、陸幕は軽量化と車体の小型、コスト削減のために5個を要求した。結果、履帯の接地圧が減少し機動力が下がった上に、履帯離脱が起こりやすくなった。十全の準備を行ってたはずの富士総合火力演習において履帯離脱が起きたのは、関係者に衝撃を与えた。当然、重量が増加した際の機動力のさらなる低下は深刻な問題となるだろう。


10式戦車は調達自体が目的だったと言わざるをえない。新型戦車を導入しても随伴する89式戦闘装甲車、73式装甲車、87式自走高射機関砲、96式自走120ミリ迫撃砲、更には指揮通信車など諸兵科の装甲車両は近代化も更新もされていない。唯一の機甲師団である第7師団は事実上「第7戦車博物館」である。


陸自はドローン、精密誘導砲弾などの導入が途上国より遅れた「昭和の軍隊」であることに疑問を持ってこなかった。現代戦において大好きな10式戦車ははるか遠くから敵のドローンに探知されて、徘徊型ドローン、榴弾砲や迫撃砲の精密誘導砲弾、あるいは長射程の対戦車ミサイル、それを搭載したUGV等によってアウトレンジで攻撃されて、敵の戦車の戦う前に虐殺される運命にある。このような無責任な装備調達や運用をしているのは、国防上問題があるだけでなく戦時に命を掛けて戦う現場の隊員を侮辱しているとも言えるだろう。


まるで女子高生が戦車だけで戦うアニメ、「ガールズパンツァー」と同じで、軍事的な常識が欠如している。新型戦車だけ調達できれば戦争に勝てるならどこの軍隊も苦労はしていない。こういう素人以下の集団が多額の税金を浪費して国防が全うできるはずもない。


このような杜撰な装備調達、運用をしている防衛省、自衛隊に対してGDP比2倍の予算、しかも借金による軍拡を行うための予算をつけるべきではない。


予算増額の前に、軍隊としてまともな予算の使い方を身につけさせるべきだ。


(上のつづき。全2回)


トップ写真:菱重工が開発中の水陸両用装甲車 出典:筆者提供


この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください