今年開催された北戴河会議の中身
Japan In-depth / 2022年8月15日 11時11分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・今年8月上旬、共産党幹部が出席する北戴河会議が開催されたという。
・中国共産党にある「7上8下」の不文律により、これから李首相の存在感が増している。
・中英直行便の回復、サウジアラビアの訪問や東南アジアの訪問予定など対外行動の展開は、習近平権力の変化をほのめかす。
今年(2022年)8月上旬、北戴河会議が開催された(a)という。7月31日の「建軍節」レセプション後、7人の政治局常務委員らが数日間にわたり、一斉に姿を隠したからである。同会議が開かれた事は、ほぼ間違いないだろう。
北戴河会議の歴史は古く、1953年から始まった(b)。「文化大革命」中、いったん同会議は中断したが、1984年に北戴河会議が復活した。翌85年から旧幹部が同会議に出席して、干渉するようになったという。
習近平主席が総書記に就任して以来、この北戴河会議の役割が逓減しているらしい。なぜなら、習主席が、旧最高幹部らの話を聞く耳を持たないからだという。
さて、今年の北戴河会議では、一体、何が起きたのか。
8月6日付『人民日報』第1面に、「団結してこそ勝利し、奮闘してこそ成功する」という記事が掲載(c)された。つまり、会議は開催されたものの、そこで意見の一致が見られなかった証左だろう。
更に、8月7日と9日に、中国メディアに習主席を讃える「焦点インタビュー―効率的に操舵方向を調整——ナビゲーション」(d)と「習近平総書記のリーダーシップによる、コロナ予防と経済・社会発展との効率的な連携に関するレビュー」(e)という長文の記事が掲載された。
もし習主席が党内で“絶対的優勢”を維持していれば、わざわざこのような論文を掲げる必要はない。現在、いかに習主席が“苦戦”しているのを物語っているのではないか。
一方、北戴河での決議も注目された。一部のメディアによれば、最高幹部の政治局常務委員人事がほぼ決まった(f)という。
中国共産党には、「7上8下」(秋の党大会までに67歳であれば、就任、あるいは留任できるが、68歳以上は引退)という不文律がある。習主席はすでに69歳なので、本来ならば引退しなければならない。ところが、周知の如く、主席は3期目を目指している。
同常務委員7人中、習主席を除けば、栗戦書が71歳で引退を余儀なくされるだろう。韓正も68歳なので、引退は確実ではないか。しかし、李克強首相はまだ67歳、汪洋も67歳、王滬寧は10月生まれなので、党大会時、66歳ないしは67歳、趙楽際は65歳である。
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