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「我々はもう一度勝てる」とロシアは言う(上)戦争と歴史問題について その2

Japan In-depth / 2022年8月15日 18時0分

明らかに戦時国際法を無視した蛮行だが、連合軍の一員として義務を果たしたまでである、との論法でこうした行為を正当化したいのではないか、と見る向きもある。


話を戻して、日本も終戦記念日を変えた方がよいのでは、という意見に対し、私は一貫して反対の立場をとり続けている。


理由は簡単で、ソ連邦・ロシアの例を引くまでもなく、記念日などもともとドメスティックなものであり、世界の大勢など虚構に過ぎないではないか、ということだ、


結婚記念日を考えてみればよい。これとてオフィシャルには婚姻届が受理された日をもって記念日としなければならないはずだが、大半の夫婦は挙式の日を記念日としている。・それで誰かに迷惑をかけていますか、という話である。


これは言葉遊びや判じ物ではない。何月何日を記念日にするかが重要なのではなく、なんのための記念日なのか、毎年その意義を考え直すことが重要なのだ。


もうひとつ、知っていただきたい事実がある。


前述のように英国では8月15日を「VJデー」としているが、大した盛り上がりは見られない。5月8日の「VE Day=Victory in Europe Day ヨーロッパ戦勝記念日」の方が、マスメディアでも取り上げられ、国民の大きな関心事となっている。







▲写真) ウェイマスのエスプラネードにある戦争記念館でヨーロッパ戦勝記念日に死者を記念する活動、イギリス(2020.5.8) 出典:Photo by Finnbarr Webster/Getty Images


ただ、前にもこの連載で取り上げたことがあるが、1988年秋、昭和天皇が重篤な病気である、との報道がなされた直後には、複数のメディアが、その戦争責任を問う記事を掲載したし、一部の元軍人は。ロイヤルファミリーが葬儀(大喪の礼=1989年2月24日)に参列することに反対する声明を出したりした。当時は今のようなネット社会ではなかったが、どこが発信源なのか「ヒロヒットラー」などという呼称も人口に膾炙していたのを覚えている。


やはり戦争で敵味方になった歴史は、そう簡単に清算できるものではないのだ。


ここであらためて、ロシアに目を向けてみよう。


ロシアでもやはり、対日戦勝記念日より「大祖国戦争終結記念日」の方が大きなイベントだ。なにしろ祝日にまでなっている。5月8日でなく9日だが、その理由について、今更くだくだしい説明は不要だろう。


本連載では、3月に「反戦ロシア人の声を聞け」と題したインタビュー記事を掲載し、5月にもウクライナ情勢について、あるロシア人女性が取材に応じてくれた。


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