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「我々はもう一度勝てる」とロシアは言う(上)戦争と歴史問題について その2

Japan In-depth / 2022年8月15日 18時0分

今回もまた、最新情報からソ連邦時代の思い出まで詳しく聞くことができたので、読者にもその知見をお届けしたいと思う。


彼女の名前や素性は明かせないが、その理由は前述の記事で具体的に述べたので、ご参照願いたい。


 彼女も、9月2日の対日戦勝記念日については、


「誰も覚えていない、と言ってよいでしょう」


と言い切った反面、前述の「大祖国戦争終結記念日」は、


「昔(ソ連邦時代)は、お正月の次に大事な日だとされていました」


と語る。レニングラード(現サンクトペテルブルク)の出身だが、子供の頃、父上に手を引かれて、記念日のパレードを見た記憶もあるそうだ。


ソ連邦は、第二次世界大戦において最大の犠牲者を出した国である。







▲写真 第二次世界大戦初期、ポーランドに派遣されたソ連の兵士たち(1939.12.01) 出典:Bettmann/GettyImages


1993年にロシア科学アカデミーが公表したところによれば、軍人・民間人合わせて2660万人が犠牲になったという。本当は4000万人を超えるのではないかと見る向きも多い。


これに対してナチス・ドイツは、ドイツ赤十字社の統計によると、オーストリア及び東欧のドイツ系国民も含めて、犠牲者数430万(死者310万、行方不明者120万)である。


大日本帝国は310万人の犠牲者を出しているが、この数字は日中戦争始まった(世に言う日華事変)1937年以来の戦死者と、国内外における戦災で命を落とした民間人の総数として記録にとどめるとの閣議決定がなされた(1963年5月14日)。これについては、項を改める。


いずれにせよソ連邦における犠牲者の数は突出して多く、わけても彼女の出身地(偶然ながらプーチン大統領も)であるレニングラードは、300日にわたってナチス・ドイツ軍に包囲され、一説では100万人以上もの餓死者まで出している。


「それだけの犠牲を出して戦争に勝ったということは、素直にすごいと思いますが」


と前置きした上で、


「でも、プーチン大統領になってから、この記憶がどんどんパトリオティズム(戦闘的愛国心)をあおる道具として利用されているのは、納得しかねますね」


と語った。具体的にどういうことかは、次回。


(下につづく)


トップ写真:米戦艦「ミズーリ」の艦上で日本の降伏(1945.9.2) 出典:Bettmann/GettyImages


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