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「我々はもう一度勝てる」とロシアは言う(下) 戦争と歴史問題について その3

Japan In-depth / 2022年8月16日 7時0分

 まるでスターリン時代の再来ではないか。ロシア人はそれをどう受け止めているのか、と疑問に思わざるを得なかったが、くだんのロシア人女性の答えは、端的に、


「それは世代によって違うでしょうね」


 というものだった。彼女自身は、小学校を出たのとソ連邦が解体されたのが、ちょうど同じ時期だったので、かえってソ連邦に悪いイメージがないそうだ。


「あの時代に戻りたい、ということではなく、子供時代の楽しい思い出が、たまたまその(ソ連邦の)時代と重なっていただけです」


 と前起きして、


「祖母などは、とにかく怖い時代だった、という認識みたいですね。母はそこまでではありませんが、私に対しては〈大きな声で自分の意見を言っちゃ駄目〉〈前に出ては駄目〉みたいなことを、よく言ってました」


 と語ってくれた。


 こうしたプロパガンダの効果もあってか、泥沼化が伝えられる割には、ロシアの一般市民の間に、さほど悲観的な空気は流れていないという。おかしな言い方だが「苦戦慣れ」しているし、経済制裁にせよ、ソ連邦が崩壊した直後のひどい経済混乱を経験した世代は、今はまだ普通に食べられるではないか、となるらしい。


「どちらも(ロシア人、ウクライナ人ともに)頑固と言うか、後に引かない人たちですから、この戦争は、すぐには終わりそうもないですね」


 日本において戦争反対の声を上げ続けているロシア人女性までが、ため息交じりにそう言うのを聞くと、私などもつい、ロシアで政変が起きることくらいしか道はないのだろうか、という考えにとらわれてしまいそうになる。


 それでもなお、戦争を止める努力を諦めてはいけない。


 なにもしなければ、なにも始まらないのだから。


 


トップ写真:ソ連軍がドイツを侵攻する中、ソ連の自走砲が敵の本拠地に向けて発砲。(1945年)


出典:Photo by Victor Temin/Slava Katamidze Collection/Getty Images


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