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台湾を巡る米中戦争は必至か?

Japan In-depth / 2022年8月17日 11時26分

どのケースでも、戦争の近因として、事故、錯誤、(不可避な選択による)意図しない結果などが挙げられる。


今日の台湾をめぐる米中対決に関しては、3つの冷徹な事実がある。


第1に、習主席だけでなく、中国指導部と国民全体は、台湾が独立国家になるのを明確に阻止しようとしている。もし、「台湾独立」を受け入れるか、中台戦争かの選択を迫られたら、習主席たちは後者を選ぶだろう。


第2に、現在、ウィンストン・チャーチルの言う内政の「致命的流れ」が、米中両国で猛威を振っている。とりわけ、米国の共和党と民主党の政治家たちは、中国に対して他の誰よりも強硬になり得るかを示すために奔走している。


第3に、多くの米国政治家は未だ認識していないが、前回の台湾危機(1995年~96年)から四半世紀経ち、台湾海峡の軍事バランスは一変した。米国は台湾をめぐる戦争に負ける可能性がある。


仮に、米国が台湾をめぐり局地戦を戦うことになれば、米大統領は敗北するか、米国が優位に立つため、より広範な戦争にエスカレートするかという選択に直面することになるだろう。


以上が、論考の骨子である。


早速、アリソンに対する反論が現れた。8月14日、『中国瞭望』に掲載された「米中はいずれ戦わなければならないのか?」(d)である。


同論文は、次のように反駁した。


第1に、米中央情報局(CIA)が中国軍の「台湾侵攻」時期を2037年以降としている理由は、今から15年後、ようやく中国軍が台湾へ上陸できる実力を持つようになるからである。


過去に中国軍が海峡をまたぐ戦争をしたことはないし、実際、軍が台湾に上陸しなければ、中国が台湾を占領した事にならないだろう。


第2に、アリソンの理論的問題は、貿易戦争等で中国経済が停滞しているのを予測していない点にある。今のように中国の不動産、金融、失業、流動資金に問題が生じれば、共産党政権が崩壊するかもしれない。


第3に、ナショナリズムは“両刃の剣”である。


中国共産党は、長い間、愛国心を利用して人々を扇動している。もし、「中台統一」が達成できない場合、今度はこの感情が逆襲し、中国共産党政権に打撃を与えるだろう。


その時、例えば、台湾を恫喝するなどして、国内の未熟な共産主義者(「ピンクちゃん」)のため(軍事演習等の)“ドラマ”を演じる必要がある。そうしなければ、国内の不満を和らげることはできない。


至極、真っ当な反論である。


〔注〕


(a)『中国瞭望』


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