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グローバルなブーム続くSMR投資(上)

Japan In-depth / 2022年8月17日 19時0分

テラパワーは2021年11月、ワイオミング州ケンメラーの石炭火力発電所(2025年に閉鎖予定)跡地を、開発中のナトリウム冷却高速炉と再生可能エネルギーとの連携可能な溶融塩エネルギー貯蔵システムを組み合わせた先進型原子炉「Natrium」の実証炉建設の優先サイトに選んだと発表した。





NatriumはGE日立ニュクリアエナジー(GEH)と共同開発しており、電気出力は34.5万kW。米エネルギー省(DOE)はこの原子炉の認可、建設、実証へ2028年までに約20億ドルを支援することになっている。テラパワーは今年1月末、日本原子力研究開発機構、三菱重工業、三菱FBRシステムズとナトリウム冷却型高速炉に関する協力覚書を締結した。度重なる事故で廃炉措置が採られている高速増殖炉「もんじゅ」での知見を取り込むのが狙いだ。ゲイツ氏は2010年のTEDで、新型炉は「実証に20年、(実用)展開に20年が必要」としていた。それに向け着々と布石が打たれている。





日本原子力研究開発機構の「海外におけるSMRの開発・導入動向(主要に2021年10月段階)によると、国際原子力機関(IAEA)は、従来の100万㎾を超える原子力発電所と違い、1基ごとの出力を小さくすることで原子炉の冷却を容易にし、安全性を高めた30万kW以下の原子炉を小型モジュール炉(SMR)としている。





工場で構成モジュールであるユニットを製造して組み立て、建設地に運び据え付けることで、品質の維持・向上、工期の短縮、建設コスト削減が図れる。需要に応じて、原子炉モジュールの設置数を変えられる。また、水素製造や地域の熱供給源としての利用も可能で、再生可能エネルギーの変動を補う脱炭素電源としても期待されている。こうした利点から、欧米や中国、ロシア、韓国など世界でSMRの開発や導入に向けた動きが高まっている。





DOEは、最も実用化が近いとみられる熱出力20万Wt・電気出力7.7万㎾のSMR「NuScale Power Module=NPM」開発のニュースケール・パワーに、2013年から現在まで4億ドル弱の支援を実施。NPMはアイダホ国立研究所内で2029年の運転開始を目指しているが、その所有者のユタ州公営共同事業体も2020年10月に10年間にわたる13億5,500万ドルの資金援助を発表している。この事業は西海岸の脱炭素発電プロジェクト(CFPP)のモデルとなるものだ。





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