仏、外国人投票権で論議
Japan In-depth / 2022年8月22日 15時9分
そんなEU諸国の中でも外国人が選挙権をもつことに消極的なのは、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、オーストリアなど11か国、なお、スペインとポルトガルも基本的には外国人は選挙権を持てないが、特定の国の国民、特に旧植民地の国民に投票権を与えるというシステムを採用している。
■ 今回の法案に対するフランスの反応
ちなみに、フランス国民がどう思っているかというと、Harris Interactiveのアンケートによれば、大多数のフランス人が外国人が選挙権をもつことに賛成している。67%が賛成しており、その割合は年々あがってきている。2013年から比べても13ポイント上昇。特に富裕層と25歳から34歳の年齢層の間での増加が大きくなってきている状況だ。
しかしながら、ネット上で独自の調査を行うメディアの中にはHarris Interactiveのアンケートとは、反対の意見も出されているものもある。例えば、Le Courrier de l'Ouestというサイトで独自にアンケートを取ったところ、21日の時点では4499人にあたる86%が外国人が選挙権を持つことに反対しているとの結果がでた。アンケートの対象者によって大きく意見が分かれる議論とも言えるかもしれない。
いずれにせよ、現時点ではこの法案の先行きはそこまで明るくなさそうだ。
というのも、まずこの法案自体、内閣にも事前に相談もしていない上、誰からの署名も集めていない完全にウリエ議員個人の法案となっている。
さらに、ジェラルド・ダルマナン内相は反対の立場を示しており、エリザベス・ボルネ首相、エマニュエル・マクロン大統領も、この法案は今回の公約にも含まれていないとしている上、外国人が選挙権をもつことよりもフランス国籍を取得してもらいたいという考えを変えていない。
また、左派は賛成の意向を示してはいるものの、極右や右派の政党がミッテラン氏とオランド氏の時と同様に大きく反発を強めている状況なのである。
このためこの法案が通ることはないというのが大方の見方となっているが、今後の展開は気になるところである。
<参考資料>
欧州における外国人の選挙権:誰がどこで選挙に参加できるのか?
外国人の選挙権:左派は支持し、右派は批判する
ジェラルド・ダルマナン内相、JDDに「少数派のトラブルメーカーには毅然とした態度で臨むべき」
市議選の外国人投票:サシャ・フーリエのイニシアチブは多数派に冷遇された
本日の質問です。外国人がフランスで選挙権を持つことに賛成ですか?
地方選挙における外国人住民の投票権に関するフランスの見解 - 2021年版
トップ写真:2020年6月28日に行われたフランス市長選挙第二回投票の様子 出典:Photo by Xavier Laine/Getty Images
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