ブラジル ボルソナロ大統領敗北しても居座りか
Japan In-depth / 2022年8月30日 12時0分
山崎真二(時事通信社元外信部長)
【まとめ】
・10月のブラジル大統領選の候補者支持率調査では左派ルラ元大統領が再選を目指すボルソナロ大統領をリードしている。
・ボルソナロ大統領の支持率も徐々に上昇、両者の差は縮小し、決選投票に持ち込まれる公算大。
・決選投票ではルラ氏当選の見通しが強いが、ボルソナロ大統領が敗北を認めず、混乱が起きる可能性がある
■ “ブラジルのトランプ”対左派の大物政治家
10月2日投票のブラジル大統領選に向け8月16日から公式に始まった選挙戦には12人が立候補しているが、右派で現職のボルソナロ大統領と左派のルラ元大統領の事実上の一騎打ちだ。
ボルソナロ大統領は人種差別的発言や女性への暴言、政治スタイルなどでトランプ前米大統領との共通点も多く、“ブラジルのトランプ”との異名をとるのは周知の通り。2019年に政権を担当して以来、国営企業の民営化を推進、年金改革を断行するなど一定の成果を上げたとの評価がある一方、新型コロナウイルスの感染拡大を軽視し、大きな物議を醸すなど独断的政治手法への批判も多い。
一方のルラ候補は労働組合出身で2003年から2期8年大統領を務め、任期中に積極的な貧困層支援策を実施したことで有名なブラジル左派の大物政治家。大統領退任後に国営石油会社の汚職への関与で有罪判決を受け、1年半あまり服役した経験もある。
写真)大統領選候補者討論会でスピーチするルラ元大統領(2022年8月28日 ブラジル・サンパウロ)
出典)Photo by Rodrigo Paiva/Getty Images
■ 大統領の追い上げで決選投票の公算大
ボルソナロ大統領はビジネスマン、軍人などを中心に保守層を支持基盤とするが、ブラジル人口の約3分の1を占めるほどに急増しているキリスト教福音派にも人気があり、この点でもトランプ氏と似ている。ルラ氏の支持基盤が労働組合や低所得層にあることは言うまでもない。
ブラジル大統領選に関する現地の各種世論調査では年初来、ルラ氏が40%強の支持率を維持し、ボルソナロ大統領に対し概ね2ケタ台のリードを保ってきた。
ただ、7月末以降はボルソナロ大統領の支持率が少しずつ上昇し、両者の差が縮まる傾向にある。ブラジルの有力ネットメディアの最新世論調査ではルラ氏の支持率43%に対し、ボルソナロ大統領は35%と8ポイントの差まで追い上げている。
これについてサンパウロの多くの経済アナリストは、7月半ばに大統領が低所得者向け現金給付金の増額を柱とする80億ドルの大型の景気対策を打ち出したことが最大の要因とみている。
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