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中国請負企業の工事で死者 バングラ

Japan In-depth / 2022年8月31日 13時12分

中国請負企業の工事で死者 バングラ


大塚智彦(フリージャーナリスト)


「大塚智彦の東南アジア万華鏡」





【まとめ】


・バングラディシュの首都ダッカでバス高速輸送システムの工事現場で5人が死亡するという事故発生。


・この高架バス道路の建設を請け負っていたのが中国の請負業者。


・「安全無視の手抜き工事」の典型的な手法に、今後各国は中国への警戒をさらに強めることが必要になる。


 


 バングラディシュの首都ダッカ近郊でバス高速輸送システム(BRT)の工事現場で高架バス道路に設置する高架橋の桁を運搬する工事で、桁が落下して下を通行中の乗用車に落下、5人が死亡するという悲惨な事故が起きた。


 工事を請け負っていたのは中国の企業でその杜撰な安全管理の実態が明らかになるにつれ、バングラディシュ国民の怒りと不信が中国に対して渦巻く事態となっている。


 事故が起きたのは8月15日で、ダッカ郊外のウッタラにあるジャムシム・ウディン通りで高架部分に設置する桁をクレーン車で地上から持ち上げて運ぼうとしていたところ、途中で桁がクレーンから落下して下の道路を走行中の乗用車を直撃した。


 乗用車は押しつぶされてペシャンコになり、乗車中の家族5人が死亡した。


 警察などの当局は特別調査チームを発足させて事故原因の調査に乗り出しているが、これまでのところ使用したクレーンが桁の重量を支えるに十分な性能がなく、操作していたオペレーターも操作許可を得ていなかったことが判明、このオペレーターを含む作業関係者10人が身柄を拘束され、事情聴取を受けているという。


 


★ 安全無視の中国工事請負業者


 この高架バス道路の建設を請け負っていたのが中国湖北省武漢にある「中国葛州壩集団股分有限公司(チャイナ・ゴージョウバ―・グループ)」というプロジェクト請負業者であることが地元メディアなどで報道された。


 そうすると事故で犠牲となった5人の親族が訴訟を起こすとともにこの業者がこれまでも建設工事に関わる数々の安全対策を怠っていたことが明らかになり、国民の怒りが爆発する事態になっている。


 まず今回の事故の場合、クレーンで桁を持ち上げる際に上を通過する一般道路を封鎖して交通を遮断する手順を全く講じていなかったことがある。


 さらにバングラディシュ人の建設労働者に作業用のブーツ、ヘルメット、ジャケットを着用させることもしていなかったという。


今年7月にはバングラディシュ人労働者の上にクレーンが倒れて負傷者が出る事故があったこと、2021年3月には中国人関係者3人を含む6人が同じような高架の壊れた桁で負傷する事故も起きていたことも明らかにされた。


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