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スー・チーさん さらに禁固3年 計20年

Japan In-depth / 2022年9月6日 18時0分

スー・チーさん さらに禁固3年 計20年


大塚智彦(フリージャーナリスト)


「大塚智彦の東南アジア万華鏡」





【まとめ】


・スー・チーさんに新たに実刑判決、刑期は計20年に。裁判所はスー・チーさん側主張を一切受け入れず。


・スー・チーさんの政治生命を絶ち、来る総選挙で「国民民主連盟(NLD)」の参加を認めないのが軍政の目論見。


・軍政は英政府の要求跳ね除け、元駐ミャンマー英大使夫妻に禁固1年判決。日本人ジャーナリストも拘束、訴追。


 


ミャンマー軍事政権の強い影響、管理下にある裁判所は9月2日、2021年2月1日に起きたクーデター前の民主政府で実質的指導者でありノーベル平和賞受賞者でもあるアウン・サン・スー・チーさんに対し、選挙違反の罪で禁固3年の実刑判決を言い渡した。


スー・チーさんは複数の罪約20件で訴追されており、今回の判決を含めてこれまでに判決が出た5つの裁判ではいずれも禁固刑の有罪判決が下され、刑期の合計は20年に及んでいる。


裁判はスー・チーさんが収監されている首都ネピドー郊外にある刑務所敷地内に特別に設けられた法廷で行われた。これまでの全ての裁判と同様にスー・チーさんは訴追された罪を全面的に否定しているが、裁判所はスー・チーさんや弁護団の主張を一切聞き入れない姿勢を貫いている。


こうした厳しい判決の背景にはミン・アウン・フライン国軍司令官をトップとする軍政によるスー・チーさんの「政治生命を完全に断ち切る」との目論見があるのは間違いない。


そして「いずれ治安が安定したら2023年8月までに実施する」と軍政が公にしている総選挙にスー・チーさんや民主政府の与党だったスー・チーさん率いる「国民民主連盟(NLD)」の参加を何としても認めない姿勢の表れといえる。


軍政はNLDを違法組織として党幹部らを摘発対象にしており、いずれ実施されるかもしれない総選挙も民主勢力を排除した軍政による官製選挙となることは確実とみられており、ミャンマーの民主化への道のりはますます険しくなっているのが実情だ。






写真)ミン・アウン・フライン国軍司令官にバツ印をつけた盾を持つ反軍政デモ隊(2021年3月2日 ミャンマー・ヤンゴン)


出典)Photo by Hkun Lat/Getty Images


今年77歳になったスー・チーさんは8月初めに独房内の洗面所で転倒しそうになったといわれ、健康問題への懸念が高まっている。


独房ではネピドーの自宅軟禁中にそばにいた医療スタッフや身の回りを世話する女性や英国在住の次男から贈られた愛犬の同伴が許可されずに、刑務所側が手配した3人の女性が世話をしているという。


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