日英国葬、中国はだれを派遣?
Japan In-depth / 2022年9月16日 23時5分
樫山幸夫(ジャーナリスト、元産経新聞論説委員長)
【まとめ】
・9月中に行われる安倍晋三元首相、エリザベル英女王の国葬に誰が参列するか、世界の耳目を集めている。
・とくに注目されるのは、中国がだれを派遣するかだ。
・日中関係が冷え込んでいる中、顔ぶれによって関係が好転、またはいっそう緊張するだろう。
9月中に2カ国で国葬が執り行われる。いうまでもなく、イギリスのエリザべス女王と日本の安倍晋三元首相のそれだ。各国からの参列者の顔ぶれがどうなるか、世界が強い関心をもって見守っている。
すでに明らかにしている国は少なくないが、注目すべきは中国だ。
急速な台頭によって各国から警戒のまなざしを浴びている中国は、日本との関係も険悪なまま、ことし国交正常化50年を迎えた。安倍国葬にそれなりの人物が参列すれば、関係改善への意欲のあらわれと歓迎されよう。
女王と元首相という違いはあるにせよ、あまりに〝見劣り〟する弔問団にとどまれば、関係改善への真剣さが疑われることになる。
中国自身にとっても慎重な判断が迫られるところだろう。
■ 対英と対日では温度差
エリザベス女王の国葬について中国は、「ハイレベル代表団の出席を前向きに検討している」(毛寧・外務省副報道局長)と積極的な姿勢をのぞかせたが、安倍氏の国葬への参列については「日本側と連絡を取り合っている。関連する準備が終わり次第発表する」(欧江安・外務省報道官)と述べるにとどまった。やや冷淡な印象はぬぐえない。
写真)エリザベス女王2世を弔問する一般客 イギリス・ロンドン2022年9月15日
出典)Photo by Danny Lawson - WPA Pool/Getty Images
周知のように、日中関係は過去数年にわたって関係がぎくしゃくしている。
さきにアメリカのペロシ米下院議長の台湾訪問を日本政府が支持したことから、中国が反発。8月にカンボジアのプノンペンでのASEAN(東南アジア諸国連合)を機に予定されていた林外相と王毅外相による会談を先方が直前にキャンセルする騒ぎとなり、緊張がいっそう高まっていた。
その一方で、これ以上関係がこじれるのを防ごうという動きもみられた。
外相会談中止の直後、秋葉剛男国家安全保障局長が中国の招きで訪中、天津で、楊潔篪(竹かんむり下にガンダレ、その下に虎)政治局員と会談した。「建設的、安定的な関係」構築が目的だが、楊氏は王毅外相より格上で中国外交のトップ。
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