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呆れたNHKのやらせ 根絶策は?

Japan In-depth / 2022年9月19日 11時0分

その反省は生きていなかった。BPOの報告書には、上記のBS1の番組でなぜ事実と異なった放送がなされたのか、詳しい経緯が書かれている。その上でBPOは問題が見すごされた要因として、「デモや広い意味での社会運動に対する関心の薄さ」と「ディレクターへの信頼」の2つを挙げた。


しかし、過去のさまざまなテレビのやらせ・ねつ造の例を見ると、実際に番組を制作した記者・ディレクターが意図的に事実をねじ曲げたり、虚偽の内容を仕込んだ場合、それを見つけるのはかなり困難なことがわかる。いや、ほぼ不可能に近い。


ドキュメンタリーなどの番組を制作する過程では、プロデューサーや担当部長など管理職のチェックを必ず受ける。今回のBS1の番組も、数回の試写が行われている。当該場面については何度か事実関係に関して質問が出ていたが、担当ディレクターの回答の真偽を確かめる事はしなかった。それがBPOの言う「ディレクターへの信頼」という言葉につながるのだが、取材をした人間が「事実だ」と言うものを疑ってウラを取ることまでしないのが普通だろう。全ての番組においてそれをやっていたら膨大な時間とコストがかかり、到底現実的ではないからだ。


ではどうするか。NHKは今回の問題を受け、対策として以下の3つを挙げている。


①ルールの徹底とチェック体制の強化


②BS1スペシャルのチェック強化


③全国での勉強会の実施と研修・人材育成の強化 


こうした対策が無意味とは言わないが、やらせ・ねつ造がくりかえされる以下の2つの根源的な原因を考える時、あまり意味をなさないと筆者は考える。


1つは、NHKがドキュメンタリーや企画番組を数多く制作していることだ。ドキュメンタリーや長編の企画モノの取材は長期間にわたり、膨大な素材(撮影した動画)の編集に追われるのが常だ。しかし、NHKはチャンネル数が多いが故に、多くのこうした番組を抱える。潤沢な予算と多くの局員を抱えるNHKだから出来ることではあるが、それにしてもこれだけの数の番組を毎日放送するのはかなり大変な事だと思う。


現場のプレッシャーはかなりのものだろうと推察できる。各番組には放送日という締め切りがありそれに間に合わせなければいけない。制作者は自分の頭の中にあるストーリーに合わせた映像が撮れなければ番組が完成しないと焦り、やらせ・ねつ造に手を染めてしまうケースが後を絶たない。


対策は番組数を減らすか放送間隔を空ける、もしくは人員を増やして1人に過剰な負荷をかけない制作体制にするしかない。NHKは多くの職員を抱える。特に後者は可能なのではないか。


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