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欧州はエネ高騰で戦時経済に

Japan In-depth / 2022年9月24日 7時0分

 


◇1400億ユーロ徴収へ


ガス価格に連動して電気料金も急上昇。米紙ニューヨーク・タイムズによると、西欧諸国では最高値を更新し続けている。ドイツでは一日平均のメガワット時で600ユーロ、フランスでは700ユーロに達し、ピーク時では1500ユーロにまで跳ね上がった。


チェコの首都プラハでは9月に入り、高騰するエネルギー料金に抗議するデモに7万人が参加した。


こうした中で、英独仏とスウェーデンの政府は一般家庭と企業の負担を軽減するために数十億ドル規模の救済措置をそれぞれ発表した。ただ、これらの措置のコストは膨大で、国際通貨基金(IMF)はEUが財政支出/赤字の枠組みを見直すよう提案した。


欧州委のフォンデアライエン委員長は9月14日、仏東部ストラスブールの欧州議会で行った施政方針演説で、ロシアのウクライナ侵攻を背景とする電気料金の高騰で巨額の利益を得ているエネルギー関連企業から、総額1400億ユーロを徴収する方針を発表した。消費者への還元や企業支援に充当する。フォンデアライエン氏は発電コストが安い再生可能エネルギーなどの発電業者について「消費者の陰に隠れ、戦争で桁外れの利益を得ることは間違っている」と指摘、利益に一定の基準を設け、これを上回る分を徴収する考えを示した。石油やガスなど化石燃料を扱う企業にも利益の一部還元を求める。


 


◇エネルギーの”武器化


欧州各国は冬場のエネルギー不足に備えてガス備蓄の増強や代替エネルギー源の確保などに尽力しているが、ガスプロムによるノルドストリーム1パイプライン経由の天然ガス供給停止なロシアの締め付けは厳しい。


ニューヨーク・タイムズによれば、ロシアのプーチン大統領はガスの供給不足でウクライナへの欧州の支援は弱まるだろうとみている節があるという。


米国のブリンケン国務長官はロシアは欧州に対して「エネルギーを武器化」していると批判している。


ウクライナ戦争が長期化する中、欧州諸国がエネルギー危機を一致団結して乗り越えられるのかは戦争の帰趨にも影響を及ぼしそうだ。


(了)


トップ写真:ドイツ、ヴァイセンフェルスにある風力発電所


出典:Photo by Sean Gallup/Getty Images


 


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