沖縄知事選結果分析② 低迷の「オール沖縄」・空転する県政
Japan In-depth / 2022年9月25日 11時0分
目黒博(ジャーナリスト)
「目黒博のいちゃり場」
【まとめ】
・県議補選で分裂選挙、背景には「オール沖縄」の候補者決定プロセスの混乱が。
・玉城氏再選も支持基盤の退潮は止まらない。県政は「辺野古問題」でエネルギーを消耗している。
・今後、独自の人脈を作り、自前の情報収集の体制を作り上げる必要があるだろう。
前記事「沖縄知事選結果分析①」では、保守の分裂と迷走に焦点を当てた。今回は、「オール沖縄」と玉城知事が抱える問題について述べる。
■ 県議補選で分裂選挙
故翁長前知事の次男、雄治氏が県議会議員を辞職し、10月23日投票の那覇市長選に出馬する。空席となった県議の補選が、知事選と同日に投票され、「オール沖縄」系の上原快佐前那覇市議が当選した。
▲写真 上原快佐氏 筆者提供:上原カイザ氏オフィシャルホームページより
同氏の手腕には定評があり、順当に当選すると見られたが、支持層が重なる糸数未希候補との票の奪い合いになり、冷や汗をかく。その背景には、「オール沖縄」の候補者決定プロセスの混乱があった。
「オール沖縄会議」共同代表、糸数慶子氏の長女、未希氏が、玉城デニー知事から補選への出馬の打診を受けるが、「オール沖縄」は上原氏の擁立を決定したのだ。玉城知事が事前に根回しせずに動いたため、事態の紛糾を招いたと言われる。
また、「オール沖縄」内の候補者選考に当たって、翁長雄治氏が上原氏を「後継指名」したとの情報が流れた。同陣営の「翁長ブランド」頼みの姿勢に、「翁長王朝かい?まるで北朝鮮だ!」との陰口も聞こえる。
雄治氏は35歳と若く、市議を3年、県議を2年で辞職し、議員の任期を全うしたことがない。将来性を評価する人もいる一方で、行政能力は未知数だ。たとえ当選しても、はるかに年上の市幹部たちを仕切れるのか、との疑問の声も上がる。
■ もともと保守系の故翁長知事が抱えた矛盾
故翁長雄志氏は、保守系の大物であったが、辺野古移設反対を掲げて保革の相乗り体制「オール沖縄」を作り、知事に就任した。しかし、その後、共産党との連携を嫌って陣営から離れる保守系が相次ぎ、彼の支持基盤は徐々に弱体化した。
翁長知事(当時)の急逝以降、同氏の盟友たちが陣営を去り、「オール沖縄」内で、革新系の重みが一挙に増した。
2018年の知事選では、故翁長氏への同情票と、玉城デニー氏の人気で大勝し、今回も保守分裂という幸運に恵まれ、玉城氏が再選されたが、支持基盤の退潮は止まらない。
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