マレーシア総選挙 思惑入り乱れ
Japan In-depth / 2022年9月26日 23時0分
写真)ナジブ・ラザク元首相(2013年)
出典)Photo by Nicky Loh/Getty Images
ナジブ元首相は、「高血圧と胃潰瘍」の治療とかで、刑務所からクアラルンプール市内の病院に移ることを許され、さらにリハビリの病院で治療をしていたが、保健省は「健康状態は良好で、独自の理学療法が可能」との声明を出し、ナジブ氏は9月23日に刑務所に再収監された。
ザヒド・ハミディUMNO総裁は、マレー人の間でまだ人気があり、「実質的なUMNOの指導者」ともいわれるナジブ元首相に対するアブドラ国王の恩赦獲得に動いている。訴追されている身では選挙に立候補できない。
同国の国王には、スルタンないしラージャーを擁する半島部の9州の統治者が輪番で就いている。首都クアラルンプールに隣接するセランゴール州のスルタン、シャラフディン・イドリス・シャーは9月12日、ナジブ元首相とその妻のロスマ・マンスール氏に与えた勲章の取り消しを発表。「汚職を許さず」の姿勢を鮮明にした。ぺラ州のスルタンであるナズリン・シャーも9月22日、汚職問題を軽視してはならない、と警鐘を鳴らした。国王が果たして恩赦の道筋を立てるかどうか。まだ、分からない。
2018年5月の第14回連邦下院総選挙で、1981年7月から22年間にわたって首相を務めたマハティール氏は野党連合の希望連盟(PH)を率い、与党UMNOの首相候補だったナジブ氏を破り、首相に返り咲いた。マハティール氏の1981年時の支持母体はUMNO。返り咲き時にはUMNO支配を初めて打破することとなった。そのマハティール氏は、ナジブ首相の生みの親だったが、今は「汚職は悪だ」と手厳しい。
写真)マハティール元首相(2018年)
出典)Photo by Ulet Ifansasti/Getty Images
イスマイル首相は、10月7日提出予定の2023年予算案に関し、UMNOトップ5による9月17日の会合で決める予定だったが、延期を余儀なくされた。同首相は、政治的な圧力があったことを示唆している。
現地英字紙によると、9月22日の閣議の主題はモンスーン時の洪水問題。ニュー・ストレート・タイムズ紙は、気象庁は急激な気候変動が収まるのは来年2月末ないし3月初めとしている、と報道。カイリー・ジャマルディン保健相は、大雨が続いた際などの衛生問題などにも言及した。
ザヒド・ハミディUMNO総裁は、「UMNOは(モンスーンの)洪水時でも総選挙を行うべきとした覚えはない」などと言い、言い回しが微妙に変化してきている。
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