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習近平主席「軟禁」説の検証

Japan In-depth / 2022年9月27日 18時0分

習近平主席「軟禁」説の検証




澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】





・習主席が外遊から急遽帰国。国内で“不穏な動き”か。習氏「軟禁」の噂も。過去には外遊中のクーデターで失脚したリーダーも。





・元党最高幹部による主張や、王毅外相による米政府への提案に「改革・開放」路線強調。習主席の毛沢東型社会主義路線に反する。





・党の軍事セミナー最前列に失脚したはずの戦区司令官の姿。習主席礼賛論文のサブタイトルにも「『党中央』の指導」と取れる表記が。





 




今年(2022年)9月16日深夜、ウズベキスタン・サマルカンドで開催された「上海協力機構」首脳会議から、習近平主席は急遽、北京へ戻った。国内で“不穏な動き”があったからである。その後、まもなく習近平主席が北京で「軟禁」されたという噂(a)が流れている。


中国共産党政権下では、かつて劉少奇・華国鋒・趙紫陽のトップリーダーが外遊中に国内でクーデターが起き、その後、3人は失脚した。


現時点で、習主席「軟禁」説の真偽は定かではない。ただ、確証はないが、“傍証”はあるので、時系列的に紹介したい。


第1に、9月12日、北京の万寿ホテルで江蘇省の高齢者支援基金設立10周年記念式典が行われた(b)。


その際、宋平(105歳)元政治局常務委員(最高幹部)が「改革・開放は中国が発展する唯一の道である」と述べたという。


引退して久しい元幹部が、突如、登場し発言するとは、極めて異例である。その宋平(胡錦濤をトップに推薦)の発言は、5日後の17日「網易」へ転送されたが、すぐに削除された。


周知の通り、習主席は鄧小平路線の「改革・開放」をこころよく思わず、毛沢東型の社会主義路線へと回帰しようとしている。ところが、宋平は、主席の方針を真っ向から否定した。


実は、宋平は、かつて蘭州軍区(2016年2月以前の7大軍区の1つ。その後、同軍区は成都軍区と一緒になり「西部戦区」が誕生)で政治委員を務めた経験がある。つまり、宋平は軍への影響力を持つ。


一説によれば、習主席が渡航に出た9月14日、胡錦濤・温家宝は宋平を説得し、その夜、胡・温は中央警備局をコントロール(a)した。そして、江沢民や北京の中央委員、元常務委員らで「習主席を挙手によって退位させた」という。


第2に、9月19日、新華社は中国共産党中央委員会が有力幹部に対し、「能力のある者は昇格し、無い者は降格する」という最新の規定を発表(c)した。


これは習主席を辞任させるための規定ではないかと囁かれている(目下、習主席は適切な時期に辞めるべきだというのが、党内部と人民のコンセンサスになっているのかもしれない)。


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