【安倍晋三さん追悼】生産性革命を再び!【日本経済をターンアラウンドする!】その3
Japan In-depth / 2022年9月29日 12時0分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・経済面で安倍政権のもたらしたことを正しく評価する必要がある。
・安倍政権は、2020年度までを生産性革命集中投資期間と位置付けて、補助金や固定資産税減免、人材への投資などを具体的に政策化させた。
・労働生産性は国際的に低下、人的資本の重要性が浸透しつつある中、改めて、生産性革命の必要性が再興されるべき。
安倍晋三元首相の国葬儀、内外で大騒ぎであったが、やっと終わった。
政治的なスタンスや利害、個人的な感情、法律論、政治家としての評価、遠因の宗教団体との関係の評価などがぶつかって、まさに、国中が分断されたと言っていいほどであった。日本の元リーダーが殺害されたことは、その理由が何にせよ、それはそれで多くの国民が精神的ショックを多かれ少なかれ受けただろうし、他方、近年の右翼化傾向、しかもその裏に宗教団体の影響があったことに戸惑ってしまうような、何とも言えない事件であった。しかも、選挙の直前。
元首相の愛国的な言動や行動は別にして、経済面で安倍政権のもたらしたことを正しく評価する必要があるだろう。
特に、生産性革命。今でも先進国の中で労働生産性は低く、2021年度の日本生産性本部の分析報告によると、「日本の1人当たり労働生産性は、78,655ドル。OECD加盟38カ国中28位。もちろん韓国より低く、ギリシャやポーランドと同程度、アメリカと比較しても半分程度という現状。2017年という5年前に大々的に打ち出したのは評価してよいだろう。
□ 生産性革命というレガシー
経済財政諮問会議で安倍さんはこう言っている。「経済政策の最大の柱は、人づくり革命であり、安倍内閣が目指す一億総活躍社会をつくりあげる上での本丸。もう一つの柱は、生産性革命であり、力強い賃金アップと投資を後押しするため、2020年度までの3年間を集中投資期間と位置づける」と。
さらに、「平成27年6月30日 日本再興戦略改訂2015-未来への投資・生産性革命」では、生産性を高めるための鍵は、何と言っても投資である。将来の発展に向けた、設備、技術、人材への投資である。グローバル経済下で生き残りを賭ける者にとって「寄るべき大樹」は存在せず、大企業も中堅企業も、中小・小規模企業も、個人も横一線である。(中略)企業収益が過去最高水準となっている今日、日本が新たな産業群を作り出し、再び世界のフロントランナーとなるためには、将来投資を行う「民間の出番」であり、「今こそが行動の時」である。英断をもって 過去の成功体験と決別し、未知なる世界に新たな一歩を踏み出す時である。」とまで言っている。この問題意識である。
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