日米防衛関係は泥沼か アメリカ側に告げる(上)
Japan In-depth / 2022年10月1日 23時3分
この非核3原則は1976年の日本の国会決議に基づき、日本は核兵器を持たず、作らず、持ち込まない、という内容でした。この三番目の「持ち込まない」というのは日本の領土と領海のいずれにも核兵器を持ち込まない、持ち込ませない、という意味でした。その結果、日本の歴代政権は「核兵器搭載のアメリカ艦艇は日本の領海や港には一切、入ってこない」と宣言し続けたのです。
★ ライシャワー元大使の発言
ところがライシャワー氏は私との会見で実態はその日本政府の宣言とは違うのだと述べたのです。アメリカ側はこの「持ち込む(introduce)」という言葉を核兵器を日本の陸上の領土に持ち込むという意味だけに解釈していた、というのです。しかも日本政府はその解釈の違いを知っており、そのことをずっと秘密にしてきた、とライシャワー氏は語りました。
だから「アメリカの核兵器は日本の領海には決して入ってこない」と宣言することは、壮大なフィクションだった、ということになります。ちなみに私はこのライシャワー元大使の言葉を本人の了解を得て、当時の毎日新聞の同僚記者たちに伝えました。毎日新聞はこのライシャワー証言を大々的な新発言として大きく報道しました。そのニュースは国会でも熱っぽい論議を呼び、やがては当時の首相の辞任へとつながりました。
しかしそんな騒ぎよりももっと不運だったライシャワー発言の結果というのは、この核兵器をめぐる問題がいまもなお未解決、かつ曖昧なままだということです。
考えてみれば、この種の虚構は日米同盟を円滑に機能させるために必要とみなされた両国間の断層を埋めたり、隠したりするフィクションなのだといえるかもしれません。
(下につづく)
**この記事は日本戦略研究フォーラムのサイトに掲載された古森義久氏のコラム『内外抗論』からの転載です。
トップ写真:横須賀米軍基地に寄港する米空母 USS ジョージ ワシントン(2012年11月20日) 出典:Photo via Smith Collection/Gado/Getty Images
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
トランプもバイデンもイスラエルを支援する理由 聖書と冷戦が生んだ米国とイスラエルの同盟
東洋経済オンライン / 2024年7月17日 9時0分
-
安倍晋三氏の国際的実績とは(下)アメリカはなぜ彼を賞賛したのか
Japan In-depth / 2024年7月11日 21時0分
-
自衛隊の任務拡大、増えるリスク 集団的自衛権容認から10年
共同通信 / 2024年7月1日 18時8分
-
「トランプ陣営の世界戦略がさらに明るみに」その5(最終回)日本との同盟を超重視
Japan In-depth / 2024年6月28日 19時0分
-
「トランプ陣営の世界戦略がさらに明るみに」その1 新文書が示す国際安全保障策
Japan In-depth / 2024年6月25日 23時0分
ランキング
-
1「発見」通報の女逮捕=殺人容疑、マンション男性遺体―京都府警
時事通信 / 2024年7月21日 22時54分
-
2エレキギターを持ったロック歌手がズブ濡れのファンとハグし感電死
東スポWEB / 2024年7月21日 14時57分
-
3トランプ氏銃撃、民主主義脅かす不安「感じる」76%…読売世論調査
読売新聞 / 2024年7月21日 22時0分
-
4政令市で唯一、福岡市の「夜のごみ収集」ピンチ…深夜のコンビニ休憩に「サボり」通報増加中
読売新聞 / 2024年7月21日 16時0分
-
5衆院選投票に裏金事件考慮73% 与野党伯仲半数望む、共同調査
共同通信 / 2024年7月21日 19時42分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください