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日米防衛関係は泥沼か アメリカ側に告げる(下)

Japan In-depth / 2022年10月2日 23時0分

 


★憲法改正の誓約を再確認


 自民党はまた最近、日本の防衛努力を完全に合法的かつ正常にするために憲法を改正するという長年の誓約をまた改めて再確認しました。自民党以外の政党の間でも憲法改正の賛成派は拡大しています。現在、衆議院、参議院の両院で憲法改正に賛成する議員の数は憲法改正の発議に必要な全議員の3分の2を越えています。


 こういう新たな防衛政策への国民の支持も大きな変化を示しています。


 ここ1,2年の世論調査はあいついで日本国民の明確な多数派が防衛費の増額、より長距離のミサイルの配備、そして第9条をも含む現行憲法の改正に賛成していることを明示しました。


 これは驚くべき変化です。とくに私のように長年にわたりこの課題を考察してきた人間にとっては一見、信じがたいほどの大きな変化なのです。


 こうした現在の日本の国民世論がはたしてこのまま安定していくか否かは、まだこれからをみなければ、わかりません。しかし現在のより強固な防衛への支持は圧倒的なのです。


                       


★防衛強化の世論の原因は?


 そこで自然に生まれる疑問は日本のいまのこうした変化を引き起こしたのはなにか、という問いです。まず明らかなのは中国の好戦的な行動と威圧的な言辞が第一の原因だということです。


 中国の武装艦艇は尖閣諸島周辺の日本の領海や接続水域に毎日のように侵入してきます。そして北朝鮮は日本海に向けてミサイルをきわめて頻繁に発射しています。今年の前半だけでもすでに16回も北朝鮮のミサイルが発射されました。そしてその異様な国家の北朝鮮は核兵器の配備を自慢し、その核兵器を日本に対して使うという脅しをかけています。


 ロシアのウクライナ侵略、そしてウクライナの勇敢な抵抗は多数の日本国民を印象づけ、とくに自国を防衛するための自衛努力の必要性への意識を高める結果となりました。ロシアの日本周辺での最近の戦争演習も日本国民の警戒や注意を集めました。


 


★岸田政権はどう動く


 さて最後に岸田政権はどう動くのか、という疑問です。岸田文雄氏は強固な防衛を主唱してきた政治家ではありません。実際に日本の政治の記録には岸田氏が防衛や安全保障の分野でなにか活動をしたことはほとんど見いだすことができません。岸田氏は実は経済最優先を唱えることで知られた自民党内の派閥で育ってきた政治家なのです。


 ですから私は防衛問題に関して岸田首相には大きな期待は抱いておりません。しかし同時に岸田氏が大きな潮流にさからうということもないだろうと思う次第です。私の報告は以上です。あとは自由な質疑応答や議論ということにしましょう。ご清聴ありがとうございました。


(終わり。上はこちら)


 


 ★この記事は日本戦略研究フォーラムのサイトに掲載された古森義久氏のコラム『内外抗論』からの転載です。


トップ写真:陸上自衛隊朝霞駐屯地での年次審査に臨む安倍晋三総理(当時)2018年10月14日 東京都


出典:Photo by Tomohiro Ohsumi/Getty Images


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