党大会直前、異常事態続く中国共産党
Japan In-depth / 2022年10月6日 18時0分
澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)
【まとめ】
・9月30日、中国烈士記念行事には習近平主席をはじめとする政治局常務委員7名全員が出席した。
・中国共産党がいきなり「ノーマスク」へと舵を切り、式典に参加する数百人が誰もマスクをつけない姿で登場した。
・9月下旬以降、李首相は習主席の好まない「改革・開放」を内外へ向かって繰り返し主張。9月中旬から下旬にかけて共産党内で大きな変化があった可能性高い。
今年(2022年)9月30日、中国烈士記念行事には習近平主席をはじめとする政治局常務委員7名全員が出席した(a)。
中学校の生徒が歌を歌い、その後、9つの大きな花籠が軍人によって人民英雄記念碑に運ばれた。習主席らは記念碑に登り、籠のリボンを整え、ゆっくりと歩いた(式典は20分ほどで終了)。
コロナの発生から3年目にして初めて、式典に参加する数百人が誰もマスクをつけない姿で登場した。突然の習主席及び中国共産党幹部らの「ノーマスク」は不思議な光景である。9月27日、習主席は10日ぶりに姿を現したが、その時はまだマスクを付けていた。ところが、その3日後、中国共産党はいきなり「ノーマスク」へと舵を切ったのである。
第20回党大会以降ならともかく、習主席は、次期党大会での3選を目指し、これまで「ゼロコロナ政策」を掲げて突っ走って来たのではないだろうか。なぜ、突如、習主席は自らの“看板政策”を下したのか。
9月14日、習主席は、外遊に出た際、ずっとマスクを着けていた(カザフスタン側は習主席に気を遣って、全員マスク着用で応対している)。ウズベクスタンのサマルカンドで「上海協力機構」が行われたが、晩餐会で、各国首脳は全員「ノーマスク」だった。そのせいもあってか、習主席は晩餐会に出席せず、急遽、北京へ戻っている(習主席が予定を変更したのは、北京で“不穏な動き”があったからかもしれない)。
つまり、9月中旬から下旬にかけて、中国共産党内で大きな変化があった可能性が高い。そうでなければ、次に述べるような奇妙な出来事も起こらないはずである。
9月30日夜、国務院主催の「国慶節」(翌10月1日)のレセプションが人民大会堂で開催され、約500人が招待された(b)。その際に撮影された1枚の写真が、様々な憶測を呼んでいる。
それは、習主席と李克強首相が、(乾杯の)グラスを合わせようとした瞬間だった。上位の習主席は、グラスを下位の李首相より高く掲げていた。
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