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沖縄知事選結果分析③ 政策ビジョンの貧しさと人材難

Japan In-depth / 2022年10月7日 18時0分

<現代中国・台湾の研究者がゼロ>


沖縄で安全保障の議論が活発でない理由の一つは、中国の専門家がいないことだ。


近年、東シナ海や台湾海峡、南シナ海の危機が報道されてきたにもかかわらず、沖縄では、大学教授や文化人たちは、もっぱら米軍基地の是非ばかりを論じ、中国とその周辺地域の情報収集さえ怠った。


中国の強硬な対外姿勢と急速な軍拡に、多くのアジア諸国は懸念を抱くが、沖縄では「基地がなくなれば平和になる」と考える人が少なくない。


現実は理想とは異なる。1992年に米軍基地がフィリピンから撤去された直後に、中国は、フィリピンが領有を主張してきた島などを占拠した。地域で圧倒的軍事力を持つ中国は国際社会からの批判を撥ねつける。米軍基地の撤退は地域の不安定化をもたらしたが、沖縄の言論界はその事実には触れない。


中国が南シナ海で一方的に領海を設定した「九段線」も、なぜか沖縄では知られていない。また、「オール沖縄」や、同陣営の支持者たちは、「地元の民意」と「自己決定権」を主張してきたにもかかわらず、香港や台湾の人々の「民意」や「権利」については、ほとんど沈黙する。







▲写真 南シナ海の九段線 出典:防衛白書(令和4年版:P.53)


「アジア経済戦略構想」などの看板は立てたが、アジアの情勢分析もなく、「構想」だけが宙に舞う。まずは、県庁と県内の大学が、アジアの情報を収集分析する体制を築き、専門的な人材を育成しながら、内外の専門家とのネットワークを築くことが必要だろう。果たしてそれが実現するかどうか。そのカギを握るのは、玉城知事と大学の幹部たちだ。


トップ写真:沖縄、那覇市の国際通り(2022年9月11日) 出典:筆者提供


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