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日本が育てた覇権国家中国 日中国交50年の反省 その4

Japan In-depth / 2022年10月10日 11時0分

日本が育てた覇権国家中国 日中国交50年の反省 その4




古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)





「古森義久の内外透視」





【まとめ】





・日本の中国へのODAは自分の首を絞めるような形で中国共産党政権に貢献してしまった。





・日本のODA資金が中国政府に軍事費増加への余裕を与えた。





・日本のODAで築かれたインフラ施設が中国軍の軍事能力の強化に間接に寄与した。





 




日本の中国へのODA(政府開発援助)はさらに自分の首を絞めるような形で中国共産党政権に貢献してしまったという要素がある。日本への直接の軍事脅威の拡大にその日本が援助をして、その脅威をさらに強大にしていたのである。つまり日本のODAの援助が中国の軍事能力の増強に寄与したという実例があったのである。


中国は建国の1949年以来、軍事力を画期的に増強してきた。1964年には核兵器の開発に成功したことを発表した。非核の通常戦力でも異様なほどの倍増ゲームのような勢いで軍拡を続けてきた。その結果としての強大な軍事力は尖閣諸島への軍事攻勢をみても明白なように日本への直接の脅威となっている。その脅威の拡大に日本の援助が寄与していたとすれば、その援助を提供した日本国民にとってはなんともみじめなことではないか。


では日本の対中ODAは具体的にどのように中国の軍事力増強を助長することになったのか。いくつかの側面を報告しよう。


第一には日本のODA資金が中国政府に軍事費増加への余裕を与えたことである。


当然ながらカネはどう使ってもカネとなる。中国政府が非軍事の経済開発に不可欠とみなす資金が多ければ、軍事費には制約が出てくる。だがその経済開発に日本からの援助をあてれば、軍事に回せる資金は増える。ごく単純な計算である。


たとえば中国の公式発表の国防費は1981年は167億元、日本円で約2600億円だった。「公式発表の国防費」とあえて書いたのは、中国には公式に発表されていない国防費、軍事費が山のようにあるからだ。


で、この1981年の国防費の額は1980年代から90年代にかけての日本の対中ODA1年分平均に等しかったのである。だから日本のODAが中国の国防費を補っていたともいえるだろう。


第二には日本のODAで築かれたインフラ施設が中国軍の軍事能力の強化に間接に寄与したことである。


先にも述べたように日本の対中援助の大部分は鉄道、高速道路、空港、港湾、通信網などのインフラ建設に投入された。この種のインフラ施設が軍事的な効用を発揮するのである。人民解放軍総後勤部(補給や輸送を担当)の楊澄宇参謀長は1998年に「地域戦争のための兵站支援」という論文で以下のように述べていた。


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