アメリカの対中強固政策いつまで?
Japan In-depth / 2022年10月11日 18時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
「古森義久の内外透視」
【まとめ】
・バイデン政権が中国への半導体先端技術の輸出規制を強化。官民、議会が一致して中国を長期の脅威とみなし、対抗や抑止の政策を求める。
・17年の国家安全保障戦略で、中国は米の基本的な国益を侵し、同盟国との離反を図り、グローバルな脅威だと初めて明記。
・専門家は米の対中強固策は「ワシントン・コンセンサス」で「全・国政的対応」、当面揺るがないと指摘。
アメリカの首都ワシントンではバイデン政権が10月7日、中国への半導体の先端技術の輸出を厳しく規制する指令を出した。アメリカがハイテク分野でも中国に対する制約をさらに増す姿勢を明確にしたわけだ。だがアメリカのこの中国に対する強硬な態度はずっと続くのだろうか。対中強固姿勢の持続性はどうなのか。
この点は日本にとっても超重要である。アメリカは中国に対する強固な政策では日本にも同調を期待する場合が多い。日本側もそれでなくても安全保障上などの理由から中国への経済や政治での態度は強固になってきた。だが同盟国のアメリカの対中強硬姿勢に同調して同じ方向へ動くという部分も大きい。
だが万が一、その同盟国のアメリカがいまの対中強硬姿勢を突然、変えたらどうなるのか。日本はハシゴを外された状態ともなりかねない。となると重要になるのは、いまのアメリカの対中強硬姿勢にどれほどの耐久性、持続性があるのか、という読みである。
ワシントンでは中国論議がますます過密かつ熱気を高めてきた。戦争が続くウクライナについてよりも中国への対応が頻繁かつ熱心に語られるようなのである。私自身がそのワシントンで日本への影響も大きい、その種の中国論議を追い、耳を傾けた。
連邦議会では上下両院がともに「台湾政策法案」という中国への対抗を前面に出した法案を審議していた。民間のハドソン研究所ではジョン・リー研究員が「対中経済デカップリング(切り離し)」を語った。
同様の民間の大手研究機関AEI(アメリカン・エンタープライズ・インスティテュート)ではジョンズホプキンス大学院のハル・ブランズ教授らが米中戦争の危険性を論じていた。中国にはどちらかといえばソフトだとされてきたブルッキングス研究所も「中国の独裁者はより独裁的になるか」と題する討論を催していた。
要するに官民ともに中国をアメリカへの長期の脅威とみなす、という前提なのだ。そのうえで中国への対抗や抑止の政策を探索するのである。連邦議会の上下両院でも日ごろは激突する民主、共和両党が中国に対してだけは手を握り、中国への敵対性をもこめた政策を求める、という光景なのだ。
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