中国軍兵士5000人が駐屯 南シナ海
Japan In-depth / 2022年10月13日 23時0分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・南シナ海全体で駐留する中国軍兵士ら約5000人に達していると一部中国メディア伝える。
・中国政府は国際法違反との声を無視し、島嶼や環礁を埋め立て、軍事基地化を進めている。
・共産党大会を控え、中国は対外的に批判浴びる行為を自制するのではないか。
南シナ海の島嶼や環礁を中国が埋め立てるなどして一方的に空港や港湾などの軍事施設を建設している南シナ海全体で駐留する中国軍兵士らが約5000人に達していることを一部中国メディアが伝えたことがこのほど明らかになった。
これは中国国営テレビ系列のCGTNが報じたものを米系「ブナ―ル・ニュース」が転電する形で伝えた。それによると中国海軍の病院船「YOUHAO」がこのほど180日間の作戦行動を終えて広東省に帰港した。
同病院船は広東省湛江市に拠点を置く中国海軍南海艦隊所属で舷側には大きく赤十字マークが施され、排水量4000トン、船内には100床の病床を備え、3つの手術室も備えた本格的な「洋上の大型軍病院」といわれている。
同病院船は180日をかけて南シナ海の中国が領有権を主張して軍事基地化している島嶼や環礁を周回して、そこに駐屯する兵士たちの病気治療や健康チェックなどを行ってきた。同病院船の乗り組んでいる医師や医療スタッフは湛江市にある海軍病院から派遣されているという。
今回の作戦行動では南シナ海にある西沙諸島、南沙諸島の13の拠点を巡り「約5000人に医療サービスを提供した」と伝えた。こうしたことから南シナ海の中国の軍事拠点に兵士約5000人が駐留しているという数字が明らかになったというのだ。
米政府は南シナ海に展開する中国人民解放軍の兵士に関しては約1万人規模との見解を示してきたが、中国側の報道を信用する限り今回の報道ではそこまで多くはないことが明らかになった。
こうした数字には駐留する将官、兵士と少数の一般住民も含まれている模様だが、これまで明らかにされてきたことはなく、初めての数字とみられている。
■ 国際法違反の軍事基地化
中国は南シナ海の約90%に渡る広大な海域を自国の海洋権益が及ぶとする「九段線」内と一方的に位置付け、西沙諸島や南沙諸島に存在する130の島嶼や環礁を「中国領土」と宣言して、フィリピン、マレーシア、ブルネイ、ベトナムなどとの間で領有権問題が生じている。
フィリピン政府が2014年に南シナ海での中国の一方的な動きについてオランダ・ハーグにある常設仲裁裁判所に訴えを起こした。その結果常設仲裁裁判所は2016年に「中国が主張する九段線とその周辺海域への権利に「国際法上の根拠はなく、国際法に違反する」との裁定を下した。
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