中国共産党第19期7中全会の謎
Japan In-depth / 2022年10月13日 18時0分
さて、最近、英『フィナンシャル・タイムズ』紙は世界1の大富豪、イーロン・マスク氏にインタビューを行った(d)。その際、マスク氏は中台関係にも言及したが、彼は台湾をめぐる両岸の紛争は避けがたいと見ている。そして、独自の解決策を提示した。
「私の提案は・・・、台湾の特別行政区を合理的に考え出すことだろう。そしてそれは可能であり、実際、おそらく香港よりも寛容な取り決めをすることができると思う」と語った。しかし、台湾の与党・民進党は、すぐさま、マスク氏の提案(台湾の“香港化”)を拒否(e)している。
一方、マスク氏への北京の態度は10月8日から9日にかけての24時間で“拒絶”から“歓迎”へと逆転した(f)。台湾がマスク氏の提案に猛反発したのとは対照的に、いったん北京はマスク氏の提案を拒否したが、その後、すぐに心変わりしている。
10月8日、中国外交部の毛寧報道官は、定例記者会見で、台湾の特別行政区に関するマスク氏の提案について初めて質問された際、歓迎する姿勢を示さなかった。他方、CCTVは報道で、マスク氏が不適切な発言をし、台湾問題に対し「妄言」を吐いたと非難している。しかし、中国共産党のマスク氏による台湾関連の提案に対する態度は、その数時間後に180度変化した。
(マスク氏と何度か会談したことのある)中国の秦剛駐米大使は、(米東部時間)8日の午後遅く、マスク氏の台湾特別行政区の提案に対し、公に感謝するツイートを行った。秦大使のツイートが拡散された数時間後、翌9日、毛寧報道官は定例記者会見で、前日のマスク氏による台湾特別行政区設置の提案に対する否定的な態度から一転し、マスク氏の提案を受け入れた。毛寧報道官は、「国家主権、安全保障、発展利益の確保を前提に、台湾は特別行政区として高度な自治権を行使することができる」と述べた。
我々が刮目すべきは、北京の態度が急変した日時である。10月8日から7中全会の開催された9日にかけて、「改革・開放」を謳う「反習派」が「習派」を完全に抑え込んだとは考えられないだろうか。そうでなければ、対米融和政策に転じた秦剛大使や毛寧報道官の態度急変は説明がつかないだろう(ただ、今年4月下旬にも秦剛大使と趙立堅外交部報道官が、突如、対米融和政策に転じた事があった)。
〔注〕
(a)『万維読報』(2022年10月9日付)
「(風音や鶴の鳴き声を聞いて疑心暗鬼になる) 無名の地で第19期第7中全会が開催される」
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