ウクライナで再び核戦争の深淵を覗くか キューバ危機の教訓生かし破局防げ
Japan In-depth / 2022年10月14日 12時22分
1962年の時はあたかも10月。米国の目と鼻の先にあるキューバにソ連がミサイル基地を建設したことを米が察知、それを契機に両国が全面対峙した恐怖の13日間だ。
核戦争は土壇場で回避されたが、多くの教訓が残されている。
筆者はワシントン勤務中、危機当時にケネディ米政権の中枢にあって全面戦争を防ぐために奔走した故ロバート・マクナマラ元国防長官にインタビューした。
事件の発端から収束までの13日間の経過、政権内の会議の様子、ケネディ大統領の判断、ソ連のフルシチョフ首相による土壇場の譲歩ー。当時の緊迫した空気がひしひしと伝わってきた。
驚いたのは、ケネディ政権内に台頭したキューバ攻撃計画について語った時だった。
マクナマラ氏によると、当初、持ち込まれたミサイルに核弾頭は装備されていないという判断がケネディ政権を攻撃に傾斜させたが、実はその時すでに160基以上の弾頭が搬入され、70基が米国向けに配備されていたという。攻撃を受けていたら米東海岸の九百万人の命が危険にさらされていた。
氏はそのおどろくべき事実を30年後まで知らなかったと告白、「判断ミスなど過ちがつきものである人間が核兵器を扱えば、世界を破壊してしまうだろう。それが教訓だ」と感慨深げに語った。
▲写真 キューバ・ミサイル危機をめぐる米国の行動に抗議して行進する核軍縮キャンペーンのメンバーたち(イギリス・ロンドン、1962年10月28日) 出典:Photo by Getty Images
■R・ケネディ氏「計算違い、誤解が破局もたらす」
もうひとつ、キューバ危機の教訓として触れなければならないのは、ケネディ大統領の実弟、ロバート・ケネディ氏の回想だろう。
ロバート氏は危機の時、司法長官の職にあったが、兄大統領の実質的な補佐官として事態収拾で重要な役割を果たした。
氏はその著書「13日間」のなかで、キューバ危機の教訓として、「相手の立場になって考えること」をあげ、「計算違い、誤解、一方的なエスカレーションが誰も望まない勝利のない戦争の始まり」になる(「13日間 キューバ危機回顧録」)と指摘している。
先方の立場を危うくしたり、恥辱を与えたりすることを避けるだけでなく、自らが一定の行動をとった場合、相手がどう反応するかをよく熟慮、計算すべきという意味合いでもある。
■準交戦国、米国は確実な情報を
これらの教訓をウクライナ戦争にあてはめたらどうだろう。
最も警戒すべきは、やはり偶発的な事実誤認、判断ミスがもたらす戦線、戦闘の拡大だろう。
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