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「再生建築」が拓くサステナブルな社会

Japan In-depth / 2022年10月15日 11時30分

特に上記5は、脱炭素化につながり、持続可能な社会実現を目指すSDGsの取り組みに寄与するという点で大きく評価される。


■ リファイニング建築(再生建築)の実例


こうしたリファイニング建築(以下、再生建築)の実例を見てみよう。


既存建築物の再活用コンサルティングを専門としている株式会社再生建築研究所は、住宅とオフィスで数々の再生建築を手掛けている。


住宅の具体例としては、築50年のRC集合住宅を耐震+断熱改修・内外装の更新により再生させた「ReBreath Hongo2018」が挙げられる。


これは東京都文京区本郷にある旧耐震で高さが既存不適格の共同住宅の耐震改修を含めた再生計画だ。この住宅の問題は新築すると既存不適格により容積が減少してしまうこと、北側にしか庭が造れないことだった。そのため新築と同等にバリューアップすることで容積率をキープし、南に広い庭を保持した。







▲写真 「ReBreath Hongo2018」再生前(左)、再生後(右) 出典:株式会社再生建築研究所(ⒸKenta Hasegawa)


一方、オフィスの今後の計画例として、東急不動産×再生建築研究所の業務連携による太子堂一丁目計画が挙げられる。両社提携後初のプロジェクトで、東京都世田谷区太子堂一丁目所在、築44年旧耐震基準のオフィスビルを一棟丸ごと再生する計画である。


耐震補強を行うと同時に、デザイン性に配慮した意匠計画を行うことで高い安全性と収益性を確保した持続可能な建物にすることを目指している。竣工予定は2023年5月末だ。







▲写真 (仮称)太子堂一丁目計画 (再生前) 出典:東急不動産株式会社


東急不動産は今後も渋谷周辺地域や都心5区を重点エリアに再生建築研究所と連携した再生建築を推進し、持続可能な社会への貢献を目指していく予定だ。他のデベロッパーも再生建築には注目しており、今後市場は活性化していく見込みだ。


・課題


都市部などで老朽化した分譲マンション(集合住宅)が再生建築を行いたいという場合、以下の問題が発生する。


1つ目は、そもそも「都心部や地方都市の中心部の建物以外、再生建築の対象となりにくい」、という問題だ。いくら再生建築でコストを低く抑えて建物の付加価値を上げたとしても、需要が弱ければ、賃貸物件としての事業性は低いままだ。事業計画は慎重に立てねばならない。


2つ目は、「資金調達」の問題だ。老朽化した分譲マンションを再生しようと思ったら、原資は修繕積立金や自治体の補助金などになるが、不足分は金融機関から借り入れしなければならない。先立つものが準備できなければ再生そのものに取りかかることは出来ない。


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