ミャンマー 中国資本カジノ攻撃受ける
Japan In-depth / 2022年10月16日 0時25分
大塚智彦(フリージャーナリスト)
「大塚智彦の東南アジア万華鏡」
【まとめ】
・ミャンマー北東部の中国との国境地域で中国資本によるカジノの存在が反軍政勢力による攻撃を受け注目集める。
・武装市民グループ「国民防衛軍(PDF)」は各地で軍や警察との戦闘を強化、国土の51%を支配下に置いているとの報道も。
・中国もミャンマー領内の施設だけに「傍観」する以外に手段はない。
2021年2月1日にミン・アウン・フライン国軍司令官をトップとする軍によるクーデターで民主政府が妥当され、以来軍と民主派や国境周辺の少数民族武装勢力による戦闘が続くミャンマー。
軍による一般市民の逮捕、拷問、虐殺などの人権侵害で国際社会から孤立する軍政の最大の後ろ盾となっているのが中国だが、このほどミャンマー北東部の中国と国境を接する地域で中国資本によるカジノの存在が反軍政勢力による攻撃を受けて注目を集めている。
ミャンマー北東部シャン州北部町ミューズ郡区の中心都市ミューズは橋と道路で中国の端麗市とつながっており、国境を越える検問所も設置されている。
こうした地理的理由からミューズには多くの中国人がクーデター後も自由に在住あるいは来訪しているという。
このミューズにある「ミンガラー・ミューズ商業施設」で8月に爆弾による爆発と道路上での銃撃戦があったことがこのほど伝えられた。
「ミンガラー・ミューズ商業施設」の内部には中国資本のカジノがあり、国境を越えてきた中国人などで賑わっていたという。爆弾事件はカジノを標的としたものとみられているが、死者の報告はなかった。
この商業施設で爆弾2発が爆発したほか、ほぼ同じ時刻に市内にある中央市場近くの交差点でバイクに乗った正体不明の男性2人が手りゅう弾を投げて、通行中の27歳の女性が死亡し、交通警察官2人と民兵3人が負傷する事件もあった。
さらに中央警察署付近でも銃撃戦があったと市民はメディアに匿名で話している。銃撃戦は約30分間続いたが死傷者についてはわからないという。
現地の住民はカジノでは軍兵士や地元民兵がギャング組織のメンバーと手を組んでカジノ経営に関わっていることを知っており、カジノの入った施設での爆弾事件や中央市場での手りゅう弾攻撃、中東警察署での銃撃戦は、いずれも軍政への攻撃を強めている武装市民組織メンバーによるものとの見方が強まっている。
カジノに関しては「賭け事」だけでなく中国本土に在住する中国人を相手にした違法なオンライン詐欺の拠点にもなっているとして中国側から取り締まり要請が来ていたが、それを無視して営業が続けられていたとの情報もある。
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