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玉川発言で問われるワイドショーの役割

Japan In-depth / 2022年10月16日 18時0分

■ 椿事件とは


麗澤大学の八木秀次教授は、今回の騒動を「令和の椿事件」と称した。某通信社の中堅記者と話していたら、事件そのものを知らなかったのでびっくりしたが、確かに椿事件が起きたのは1993年、今から29年も前の事だ。若手記者が知らないのも無理はない。


1993年というと、同年7月の衆院選で、自民党は過半数を割り、非自民の細川護熙連立政権が誕生した年だ。椿事件とは、産経新聞が同年10月13日朝刊で報じたことに端を発したものだ。同記事は「非自民政権誕生を意図し報道」との見出しで、テレビ朝日の取締役報道局長である椿貞良氏が、同年9月の日本民間放送連盟の会合で、「自民党守旧派は許せないと考え」、「非自民党政権が生まれるよう報道するよう指示した」、「五五年体制の崩壊させる役割を我々は果たした」などと発言した、と報じた。


波紋は一気に広がり、当時の郵政省放送行政局長が緊急記者会見し、放送法違反があれば停波もあり得ることを示唆、同年10月25日には、椿氏が衆議院に証人喚問されるという前代未聞の事態に発展した。


椿氏は「五五年体制を突き崩すためにテレビ朝日はやったとか、反自民党政権をつくるために選挙報道を行ったとかという、そういうような言い方は、先ほども申し上げましたように、現実が、そういう現実が起こりまして、それを見て、結果的に、まるで自分の手柄であるかのごとく発言をしました、明らかなフライングな発言でございます。テレビ朝日が一部の政党それから一部のグループを当選させるような目的で、今回の選挙に際して報道を行ったことは断じてございません」などと陳謝し、偏向報道は否定した。


最終的にテレビ朝日は郵政省による厳重注意の行政処分を受けるにとどまったが、その後郵政省の私的懇談会「多チャンネル時代における視聴者と放送に関する懇談会(1995年9月~1996年12月)での議論を経て、日本民間放送連盟とNHKは、BRO(放送と人権等権利に関する委員会機構)を設置することになった。同機構が、現在のBPO(放送倫理・番組向上機構)である。放送史において極めてエポックメーキングな事件なのだ。


今回、期せずして同じテレビ朝日の局員である玉川氏の発言を受け、BPO自ら「審理入り」するか、外部からの申し立てを受け、「審議入り」する可能性も否定できない。なんとも皮肉な事態となっている。


■ 局コメンテーター


元テレビ局のコメンテーターだった筆者からしてみれば、ウラを取っていないコメントをすることはちょっと考えられない。


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