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玉川発言で問われるワイドショーの役割

Japan In-depth / 2022年10月16日 18時0分

局のコメンテーターだろうが、社外のコメンテーターだろうが、視聴者からしてみれば、同じに見えるだろうが、その立場は大きく異なる。


局コメンテーターはテレビ局の社員であり、そのテレビ局は放送法の順守を求められている。当然、発言は、不偏不党、政治的公平性を担保しなくてなならない。つまり、何を発言してもいいわけではないのだ。


たとえ30秒のコメントでも通常報道番組であれば、局コメンテーターの発言は放送前に、番組送り出しの責任者で編集長的な役割を果たすプログラムディレクターや、その上の立場のプロデューサーがチェックすべきだろう。少なくとも筆者がコメンテーターを勤めていたニュース番組ではそうしていた。つまり複数の人間がチェックするシステムになっている。


今回の件に関して言えば、


・電通の関与は間違いないのか


・情報源は信頼に足るのか


を事前に確認するのが普通だろう。一局コメンテーターが自分の裁量で何でも発言できていたとしたら異常な事態だ。


それだけ局コメンテーターは責任が重いとも言える。1つ間違えば政治の放送介入を招きかねないからだ。そうならないために慎重に発言しなければならないし、他の出演者の発言に対しても、バランスを取らなくてはいけない。難しい立場なのだ。


■ ワイドショーの役割


「モーニングショー」は年間平均視聴率、個人全体、世帯ともに5年連続民放トップを保っている人気番組だ。


冒頭でも述べたとおり、玉川氏の舌鋒鋭いコメントを楽しみにしている視聴者も多いと思われるが、一方で、今回、コメントの信憑性が揺らいだことは間違いない。


繰り返しになるが局コメンテーターの役割は、ヒールになりきることではなく、自らの取材経験に基づき、物事の本質を丁寧に解説し、多様な意見を紹介することで、視聴者が判断する複数の根拠を提示することだと筆者は思っている。


例えば「モーニングショー」のお家芸だった「コロナ問題」。同番組は、コロナ禍が始まって依頼、PCR全数検査を主張していた。多くの視聴者がその時はその主張に賛同していたのではなかったか。


しかし、これには感染症の専門家から、そもそも検査の精度が30%~70%程度と低いこと、全数検査自体が膨大なコストがかかると同時に医療機関への過剰な負担を招くこと、人権的見地から全国民に検査を強要できるのか、などの反対意見が多く出されていた。しかし、そうした意見はほとんど番組で紹介されていなかった。


不安を煽り、視聴率を稼ごうという狙いがあったとは思いたくないが、全てのワイドショー、そして報道番組は、今回の騒動を一過性のものだと矮小化せず、自らの放送姿勢を見直すきっかけにすべきだ。


いまや視聴者は、SNSを通じてより専門的で多様な意見に触れることが出来るようになった。特に若年層にとって、テレビはもはや情報の入手源ではなくなっている。番組の作り方を進化させないと、若年層のテレビ離れは加速していくだろう。


トップ写真:テレビ朝日系列「羽鳥慎一のモーニングショー」 出典:テレビ朝日


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