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軍を掌握していない習主席に3期目あるか

Japan In-depth / 2022年10月17日 9時39分

軍を掌握していない習主席に3期目あるか




澁谷司(アジア太平洋交流学会会長)





【まとめ】





・第20回党大会で、習近平主席の3期目続投は確実だと報じられている。





・一方、人民開放軍は習主席の続投を支持していない、との報道も。





・「習派」と「反習派」間の調整が行われているとの憶測もある。





 




かつて毛沢東は「鉄砲から政権が生まれる」と喝破した。中国では、依然、その言葉が生きているのではないかと思われる。


第20回党大会で、習近平主席の3期目続投は確実だと報じられている。しかし、それは、人民解放軍の動向を軽視した議論に過ぎないのではないか。我々が入手した中国語の文献から考えると、習主席の続投は容易ではない観がある。


まず、軍は習主席の続投を支持していない、と報じられている(a)。第19期7中全会で、張又俠と許其亮2人の中央軍事委員会(以下、軍事委員会)副主席は、何も発言しなかったという。


ところが、グループ討論では、2人の副主席は、習主席再選支持には触れず、党中央の集団指導を支持すると公言した。だとすれば、軍は習主席再選不支持を打ち出したのではないか。


次に、現在、党の元老達は誰も習主席の再選を支持していないように見える。それは、9月30日の国慶節レセプションに、彼ら全員が欠席した事からも窺える。


さて、次期党大会直前、江沢民が姿を現した(b)。そして、江沢民は李克強首相を支持して、習主席を見捨てたという。


江沢民は、2002年に引退したが、その後、第19回党大会に至るまで、党の最高指導権を握っていた。実際、江沢民は何十年も権力を握っており、今の党、政府、軍の高官はすべて彼の指導下にあると言っても過言ではない。


軍事委員会副主席2人らはいずれも江沢民の元部下だった。国防部長の魏鳳和、連合参謀部参謀長の李作成、軍事委員会政治工作部主任の苗華なども同様である。


第19回党大会直後の習主席の周りには、有能な人材がいたという。けれども、主席は王岐山・国家副主席を冷遇し、若くて忠実な将軍、乙暁光を追い出した。


そして、北方戦区司令官の“李橋銘事件”(9月8日、瀋陽軍区で内戦が勃発。李橋銘が更迭される)以来、軍事委員会は習主席のコントロールが効かなくなってしまったようである。


ところで、多くの人々は、江沢民が、もはや権威もなく、政治における役割はゼロに等しいと思い込んでいるかもしれない(c)。だが、本当は逆で、江沢民は健康そのものだという。


最近の軍事委員会の再編成から判断すると、政変で生じるあらゆるリスクに対処するために、江沢民を中心とした軍事配置であることがわかる。


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