「コミュニティバス」の“直球質問”に当局は 「高岡発ニッポン再興」その30
Japan In-depth / 2022年10月20日 23時0分
出町譲(高岡市議会議員・作家)
【まとめ】
・公共交通は「誰も取り残さない」とのSDGsに沿った考え方が大事。乗り合いタクシーの実証実験は全市的に実施すべき。
・外出しないと、認知症の発症リスクは高まる。コミュニティバス予算は、福祉の観点も含めて総合的に見る必要がある。
・議会で「きめ細かい路線を張り巡らせるコミュニティバス導入の考えはあるか」と質問。市当局は「予定なし」と一蹴した。
高岡市が打ち出している公共交通ですが、本格運行しているのは、小勢地区と守山地区で、市全体の2%にすぎません。
市全域への拡大という点で参考になるのは石川県加賀市です。乗り合いタクシーが運行していますが、人口の96・1パーセントをカバーしています。ハイエース4台が市内を走り回っています。忙しい時間帯には、セダン型の車両も投入されます。
市内449か所の停留地点と、任意の市内の目的地を結んでいます。距離に関係なく1回500円。市は4000万円投じています。
図)石川県加賀市の乗り合いタクシー運行エリア
出典)加賀市ホームページ
さらに、加賀市は、ソフトバンクとトヨタ自動車が出資するモネ・テクノロジーと提携しています。
乗り合いタクシーに取り付けられている通信機で、必要とあれば、「どういうルートで何時間走ったか」、「どこで乗る客が多いか」など、データを入手できます。
つまり、渋滞する道路や時間帯、事故の起こりやすい場所を分析でき、将来的には都市計画にも利用できるのです。例えば、渋滞が多い道は拡幅工事したりできるようになるのです。ビッグデータに基づく情報が町の形を変えることができるのです。
私は、市当局がこうした乗り合いタクシーの実証実験を全市的に実施すべきだと考えています。手を挙げた地域だけでなく、公共交通である限り、「誰も取り残さない」という考え方が重要だと思います。
それは、国際連合のSDGsにも盛り込まれています。17の目標の1つ「住み続けられるまちづくりを」で、ターゲット、つまり達成手段が盛り込まれています。
「2030年までに、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者、および高齢者のニーズに特に配慮し、公共交通機関の拡大などを通じた交通の安全性改善により、すべての人々に、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する」。
つまり、SDGsは交通弱者に配慮し、すべての人々が公共交通機関が使えるように目指すべきだと主張しているのです。SDGsは、経済性や効率性ばかりを追求してきたことを反省し、「誰一人取り残さない」社会を目指しています。SDGsでは、高齢者など交通弱者が生き生きとして暮らしていけるのが、持続可能な社会だとしているのです。
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