円楽死すとも落語は死せず(下)娯楽と不謹慎の線引きについて その2
Japan In-depth / 2022年10月20日 18時0分
最古参は落語協会で、そのルーツは1923(大正12)年10月に設立された東京落語協会にさかのぼる。この年の9月1日、関東大震災があった。
それまで東京の落語界は、東京寄席演芸会社と三遊柳連睦会とで寄席の利権をほぼ二分していたが、震災で東京中の寄席が壊滅した事態を受け、大同団結しなければということで、この両者に東西落語会と東京演芸合資会社が加わり、新たに立ち上げたのがこの協会だ。しかしながら、その「大同団結」は1年しか続かず、翌1924年には、早くも数人の噺家が脱退してしまった。
昭和になると、家庭にラジオが普及し始めたことが、落語界にも大きな影響を与えた。東京落語協会は前述のように寄席の収益で運営される組織であったが、それだけに皆がラジオで落語を聞くようになり、寄席の客が減るのは死活問題だと考えたのだ。
そこで、傘下の噺家のラジオ出演を禁じたが、当代きっての人気者であった柳家金語楼師匠が、これに反旗を翻した。そして最終的には日本芸術協会を旗揚げするに至るが、読者ご賢察の通り、こちらが落語芸術協会のルーツである。
現会長は『笑点』の司会者も務める春風亭昇太師匠で、前会長は先代司会者の桂歌丸師匠。
TVでの露出が多い人気者が大勢加盟しているが、もともとこの協会の旗揚げには吉本興業が深く関わっていたと述べれば、大筋のところはご賢察いただけるのではないだろうか。
今では両協会の間にとりたてて感情的対立はないと言われているが、落語協会所属の噺家は東京の寄席全てに出演できるのに対し、芸術協会所属に所属していると鈴本演芸場には出られないそうだ。また、五代目円楽一門会と立川流は寄席には出られないので、ホールなどを借りて落語会を開いている。
六代目三遊亭円楽師匠は言わずと知れた五代目円楽一門会の重鎮(幹事長)だが、もともとこの一門は落語協会を割って出たもので、つまり最初はこの協会の所属であった。
さらに1990年代には、立川流にも名を連ね(有名人枠というのがあった笑)、2017年からは客員として落語芸術協会にも加入している。
東京の4団体全てにおいて活動歴のあった、唯一の噺家なのだ。ちなみに現在、上方落語協会を含めた5団体のいずれかに名を連ねる、つまりプロの噺家は全部で570人ほどいると聞く。
2007年からは「博多天神落語まつり」をプロデュースし、東西の垣根までも取り払った。所属に関わりなく、いくつかの会場に分かれて趣向を凝らした落語会を開くというもので、今や博多の秋の風物詩となって、チケットがなかなか取れないほどだ。
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