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実力の世界とジェンダーについて(下) 娯楽と不謹慎の線引きとは 最終回

Japan In-depth / 2022年11月1日 3時28分

単純に走るだけの(と言っては失礼かも知れないが)マラソンやトラック競技にせよ、記録を見れば、女性が男性と互角の勝負などできない事は明白だし、球技にしても同様。


数年前に、なにかのチャリティーで、ラモス瑠偉、前園真聖といった、すでに現役を退いた元日本代表が「なでしこジャパン」との試合に出たことがあるが、男子の元代表となると、なでしこのディフェンスなど簡単に切り裂いてしまう。イベントだから本気でぶちかましたりはしないが、それでもこうなのだ。


 


格闘スポーツでも、これまた以前バラエティー番組で、タレントの武井壮が、あの吉田沙保里選手にレスリング勝負を挑んだことがある。結果は、吉田選手の勝ち。


 


武井壮の身体能力は折り紙付で、本人も勝てると思っていたとコメントしていたが、武道経験者として言わせていただくと、格闘だ肉弾戦だと言っても身体能力が全てではない。


 


とは言え、霊長類最強とまで称された吉田選手にせよ、メダリスト級の男子と戦ったら、まず勝ち目は薄いだろう。


 


ならばトランスジェンダーの場合は……というのが今回の最も大きな論点である。 


 


6月19日、国際水泳連盟は、トランスジェンダーの選手が女子の競技に出場することを禁止する、との決定を下した。


 


事の起こりは、2020年までウィリアム・トーマスという男性として競技に参加していた選手が、性転換手術(最近は〈適合手術〉と呼ぶらしい。本連載でも今後はこう呼ぼう)を受けて、戸籍名もリア・トーマスと変えた上で、女子の競技に出場し、東京五輪のメダリストまでも破って優勝したことだ。


これに「生まれつきの」女子選手の間から不満の声が続出し、連盟も対応に苦慮していたのだが、最終的に上記のような決定となったもの。舞台となったのはハンガリーの首都ブタペストで開かれた総会だが、71パーセントの賛成が得られたという。


 


私個人も、この決定は妥当なものだと思う。


彼女は、


「答えはいつもシンプル。私は男じゃない。トランスジェンダーも他のアスリートと同様に、もっと尊重されるべき」


 


とコメントしている。その気持ちは分かるが、国際水泳連盟の、


「競技に参加したいという気持ちは尊重するが、優遇があってはならない」


 


という判断の方が、より説得力があるのではないか。水泳連盟はまた、大きな大会には性別に関わりなく参加できる「フリー部門」を設けるとも発表した。救済処置もちゃんと取られているのだ。


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