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いまなぜ日本核武装論なのか

Japan In-depth / 2022年11月2日 23時24分

いまなぜ日本核武装論なのか




古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)





「古森義久の内外透視」





【まとめ】





・10月27日、バイデン政権が「核態勢の見直し(NPR)」を発表した。





・その中で「アメリカやその同盟国が究極の状況におかれた場合には核攻撃をも考慮する」という積極防衛への転換が打ち出された。





・日本の核武装奨励論がアメリカの学界で最近出されたことは日本側でも認識しておくべきだろう。





 




アメリカではいま改めて核兵器の効用が真剣な論題となった。政府や議会という国政の場でも切迫した課題として論じられている。その理由の一つはバイデン政権が10月27日に「核態勢の見直し(NPR:Nuclear Posture Review)」を発表したことである。この文書は時の政権の核兵器に関する抑止や威嚇や報復など核戦略の一連の政策の総括である。


今回の「核態勢の見直し」ではバイデン政権がこれまで核兵器の効用について「他国の核使用を抑止することと核攻撃を受けた際の報復を唯一の目的とする」とした消極的な姿勢から「アメリカやその同盟国が究極の状況におかれた場合には核攻撃をも考慮する」という積極防衛への転換が打ち出された。


バイデン政権にこうした転換を促した原因はロシア、中国、北朝鮮の最近の動向である。これら独裁3国家の核兵器の攻撃の威嚇や威力の誇示はいずれも核抑止の超大国であるはずのアメリカへの切迫した挑戦となってきた。だが同時に日本にもそれぞれ核の脅威を突きつけるといえる。


日本にとってとくに深刻なのは中国がプーチン大統領のウクライナでの核の威嚇を教訓にして台湾攻撃の冒頭でアメリカや日本への核の脅しをかけるという見通しである。


ロシアのウクライナ侵略戦争での戦術核使用の示唆はアメリカをたじろがせた。バイデン政権はいまだにこの脅しへの具体的な核の抑止や報復の策を示せないままにある。


この効果を中国が学び、台湾攻撃への米軍介入阻止のために核兵器使用の威嚇をするという予測がアメリカ政権内外の専門家たちの間で明言されるようになったのだ。その代表例が中国の軍事動向に詳しい日系米人学者のトシ・ヨシハラ氏の分析である。


アメリカ海軍大学の教授を長年、務め、いまは「戦略予算評価センター(CSBA)」の上級研究員の同氏をホワイトハウスに近いオフィスに訪ねると、詳しく説明してくれた。


習近平主席が台湾攻撃を決める際、もし米軍が介入すれば、グアム島あるいは日本国内の米軍基地を中距離の戦域核で攻撃すると示唆することでその介入を阻止できると判断しつつある―という骨子だった。


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